こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
本日は、予防歯科の大敵・口呼吸 についてお話しします。
予防歯科というとどのようなイメージがありますか?
歯磨きや歯石除去などのプラークコントロール、フッ素などが思い浮かべられるのではないかと思います。
このようなイメージは間違いないのですが、プラークコントロールやフッ素に負けないくらい大切な要素があります。
そのひとつが、呼吸です。
わたしたちは意識することなく、この瞬間も呼吸を続けていますが、呼吸の方法によっては問題となることがあります。
それは、”鼻からか””口からか”という呼吸のルートです。
口からの呼吸、すなわち口呼吸は、歯やお口の健康に悪影響を及ぼします。
せっかく予防歯科に取り組み、虫歯や歯周病を予防しようとしても、口呼吸をしていてはその効果も下がってしまいます。
今回は、口呼吸が予防歯科に及ぼす害と口呼吸をなくすことの効果についてお話しします。
口呼吸の害
口呼吸は次のような理由により、予防歯科の効果を下げてしまいます。
プラークコントロールの悪化
プラークは、虫歯や歯周病の原因となる細菌の温床です。
プラークコントロールはそのプラークを取り除くことで、予防歯科の基本とも言っても過言ではありません。
口呼吸をしていると、唾液が蒸発してお口が乾燥しやすくなります。
プラークも乾燥し、歯に強くこびりついてしまいます。
歯磨きをしてもプラークが取れにくくなり、プラークコントロールが悪化します。
虫歯や歯周病のリスク増加
唾液には、お口の中の細菌の活動を抑える抗菌作用、汚れを洗い流す洗浄作用、初期虫歯を治す再石灰化作用、虫歯菌の酸を中和する干渉作用などの働きがあります。
口呼吸をしていると、唾液が蒸発して失われます。
プラークコントロールの悪化も手伝って、虫歯や歯周病のリスクが増大します。
口臭のリスク増加
口臭の原因はさまざまですが、歯やお口の汚れや歯周病などの歯のトラブルが大きな割合を占めています。
口呼吸をしていると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
汚れもこびりついて取りにくくなります。
このため、口臭も起こりやすくなります。
歯並びの悪化
私たちの歯並びは、舌が内側から押し出す力と、唇や頬が外側から押さえ込む力のバランスの上に成り立っています。
口呼吸を続けていると、唇が外側から押さえる力が弱くなってしまいます。
このため、舌が内側から押し出す力が強くなることで、前歯が出っ歯になってしまいます。
歯並びの悪化は、見た目を悪くするだけでなく、歯磨きによるプラークコントロールの効率を低下させてしまうため、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
顔つきの変化
口呼吸の方は、口の周りの筋肉の働きが弱くなっていることが多いです。
唇や頬がたるみ、表情が乏しくなります。
口が半開きになったままになり、口元の印象もだらしなくなります。
口呼吸は、顔つきにも悪い影響を及ぼします。
口呼吸の基準
運動したときに息切れして口で息をする程度なら、口呼吸とみなされません。
口呼吸の診断方法
口呼吸かどうかの診断基準は定められていませんが、次にあげる状況から口呼吸かどうか判断できます。
①唇が自然に閉じられるかどうか
②下顎の先に梅干状のシワができているかどうか
③唇が乾燥しているかどうか
④歯肉に口呼吸の痕が残っているかどうか
⑤上顎の内側の歯肉に腫れがあるかどうか
⑥喉ちんこに触れてもえずかないかどうか
長期的に口呼吸を続けていると、このような変化が現れます。
口呼吸のセルフチェック法
ご自身での口呼吸の確認方法は次のとおりです。
①普段から口が半開きになっている
②唇が乾きやすい
③顎の先にシワがよっている
④食べる時に音が出る
⑤上顎の前歯が出ている
⑥朝目覚めると喉が痛い
⑦口が乾きやすい
⑧下唇が出ている
このうち3つ以上当てはまると口呼吸をしているかもしれません。
口呼吸を治す効果
口呼吸を治し鼻呼吸に治すと、歯やお口にどのような効果が得られるのでしょうか。
虫歯や歯周病のリスク低下
プラークコントロールの効率が良くなるとともに、唾液の働きも回復することで、虫歯や歯周病になりにくくなります。
口臭も起こりにくくなる
プラークコントロールがしやすくなることで、歯やお口の汚れが取り除きやすくなります。
虫歯や歯周病のリスク低下と相まって、口臭も起こりにくくなります。
歯並びの悪化を抑えられる
鼻呼吸に戻ると唇が再び外側から前歯を押さえてくれるようになりますので、歯並びがさらに出っ歯になるのを防げます。
ただし、歯並びがきれいになるというわけではないのでご注意ください。
口呼吸の治し方
では、口呼吸を治す方法をご紹介します。
舌のトレーニング
口呼吸と舌は関係なさそうですが、そうではありません。
舌は、上顎の前歯の裏側の歯肉に舌先が当たるのが正しい位置です。
上顎の前歯の裏側に舌先を当てて息を吸おうとしても、吸えません。
口で息をするためには、舌先を下の前歯の裏側に当てなければなりません。
口呼吸をしている方は、舌が下がっている、すなわち舌の筋肉が緩んでいる状態になっています。
そこで、舌の筋肉を鍛えて、舌を上げるようにしましょう。
おすすめなのが、今井一彰先生が考案した”あいうべ体操”です。
「あ~」と口を縦に大きく開き、「い~」と横に広げます。
「う~」と唇を前に突き出し、「べ~」と舌を前に出し下に下げる、これだけの運動です。
1日あたり少なくとも10セットはしてください。
これを続ければ、舌の筋肉が再び強くなり、口呼吸をしにくくなります。
鼻呼吸テープを使ってみる
薬屋さんなどで売っている鼻呼吸テープを使ってみるのもおすすめです。
鼻呼吸テープを貼ると、口が開きにくくなります。
また、鼻を広げるタイプもありますので、両方を使ってみるのもいいでしょう。
日中に貼ると目立ってしまうので、寝ているときに使ってみてください。
耳鼻科で相談する
鼻が詰まって鼻で息をしたくてもできないということもあるでしょう。
鼻に口呼吸の原因がある場合は、耳鼻科で治療してもらう必要がありますので、耳鼻科を受診してください。
まとめ
今回は、予防歯科に口呼吸が及ぼす害と口呼吸をなくすことの効果などについてお話ししました。
口呼吸の癖があると、プラークコントロールの悪化などのため、予防歯科の効果も低下してしまいます。
このため、せっかく予防歯科に取り組んでも虫歯や歯周病などの歯のトラブルが起こりやすくなります。
口呼吸の心当たりのある方は、これを機会に口呼吸を治すようにしましょう。
当院は、虫歯や歯周病予防に積極的に取り組んでいる歯科医院です。
予防歯科に関心のある方、予防歯科を受診したい方は、当院にぜひお越しください。
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