こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
歯周病って、実はいろいろな種類があります。
その一つに侵襲性歯周炎があります。
侵襲という言葉は、辞書を引いてみると『侵入して、襲うこと』という意味ですから、なかなか重症そうなイメージがすると思います。
そこで、今回は侵襲性歯周炎についてお話しします。
■侵襲性歯周炎ってどんな病気?
侵襲性歯周炎とは、若い人に発症する歯周病のことで、かつては若年性歯周炎とよばれていました。
症状の進行が早く、30〜40代の中年層にもみられることから、侵襲性歯周炎とよばれるようになったのです。
■侵襲性歯周炎になりやすい人
侵襲性歯周炎は、早ければ11〜13歳ごろから発病する歯周病で、発症率は0.05〜0.1%といわれています。
普通の歯周病が成人以降になって発病することを考えると、侵襲性歯周炎の発病がとても早いことがわかります。
発病が早いということもあり、年齢分布では10〜30代の方がなりやすい傾向があります。
また、侵襲性歯周炎は、家族内での発病が多いのも特徴で、兄弟で侵襲性歯周炎であるというケースも珍しくありません。
そのため、遺伝的な要因もあるのではないかと考えられています。
■侵襲性歯周炎の症状
侵襲性歯周炎の症状は、2種類に分けられます。
上顎から下顎まで全体的に症状が現れる広範型侵襲性歯周炎、そして前歯と6歳臼歯ともよばれる第一大臼歯付近に症状が限られる限局型侵襲性歯周炎です。
歯を支えている骨を歯槽骨と言いますが、広範型/限局型どちらの場合も発病した歯の歯槽骨がとても減ってしまいます。
そのため、歯と歯ぐきの隙間である歯周ポケットは深くなり、歯もグラグラとなってしまいます。
しかも、普通の歯周病と比べても、歯槽骨が減るスピードがとても速いという特徴があります。
■侵襲性歯周炎の原因
侵襲性歯周炎も、他の歯周病と同じく原因は、お口の中にいる歯周病菌とよばれる細菌です。
歯周病菌はなんと数百種類もいると言われていますが、侵襲性歯周炎の場合は、ActioacilluActiomycetemcomita(アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンス、略してAa菌)や、多くの歯周病の原因菌であるPorhyromoa Gigiali(フォルフィロモナス ジンジバリス、略してPg菌)の影響が大きいと言われています。
Aa菌は、親から子へと感染しやすい傾向が指摘されています。
親から子へ感染するのは、年齢的に小さな頃に限られます。
歯を歯周病でたくさん抜いた親御さんの場合は、お口の中の歯周病菌の割合が多い可能性が考えられ、そこからAa菌がお子さんのお口に感染する可能性を考えると、お子さんの侵襲性歯周炎の発症リスクは高いと言ってもいいかもしれません。
ちなみに、Pg菌は、夫婦間や恋人間での感染傾向が示されています。
プラークとの関係
歯の表面を、爪楊枝や爪で擦ってみてください。
白いカスのようなものが取れてくると思います。
これが、プラークです。
プラークの正体は、細菌の塊です。
むし歯の原因菌やカビなど実にいろいろな菌が巣食っています。
歯周病の原因菌も、このプラークにいます。
ですから、歯周病とプラークは非常に関連性の高いものでして、歯周病を防ぐためには、プラークを取り除くプラークコントロールが大切と、昔から言われて続けています。
ところが、侵襲性歯周炎は、プラークと関連性があまり高くないのです。
侵襲性歯周炎の方のお口や歯をチェックしてみても、プラークはあまりついていないというケースがとても多いです。
プラークが古くなって石のように硬くなったものを歯石と言いますが、歯石もやはりほとんどついていません。
したがって、侵襲性歯周炎の場合、プラークが少ないことから、歯周病菌自体も少ないと考えられます。
おそらく、少ない歯周病菌が作り出す毒素に、歯周組織が過剰に反応しているから起こっているのではないかと考えられています。
これが、侵襲性歯周炎と他の歯周病との大きな違いです。
■侵襲性歯周炎の治療法
侵襲性歯周炎の治療も、普通の歯周病と同じく、プラークコントロールが主体となります。
ただし、普通の歯周病の場合、プラークの関与が大きいので、プラークを少しでも減らせば、治療の効果が現れやすい傾向があり、大まかな歯石やプラークの除去だけでも治ってくることもあります。
ですが、侵襲性歯周炎ではそうはいきません。
元々、プラークが少ない=歯周病菌が少ないからです。
少しでもプラークが残っていれば、そこに住んでいる歯周病菌が毒素を作り出しますので、侵襲性歯周炎は治りにくくなります。
ですから、普通の歯周病以上に、徹底したプラークコントロールが必要と考えられています。
症状によっては、歯石やプラークの除去に加えて、外科的な歯周病治療を行うこともあります。
■まとめ
侵襲性歯周炎は、若いうちから発病する歯周病です。
しかも、その進行は速く、普通の歯周病のように、プラークがあまりついていなくても起こるのが特徴です。
発症率は、0.05〜0.1%とそれほど多くはないのですが、発病すると急速に歯槽骨が減っていきます。
少しでも早く治療に取りかからないと、若いうちに歯をたくさん失ってしまうことにもなりかねません。
侵襲性歯周炎を早期発見するためにも、子供さんも定期的に歯科医院を受診して、むし歯のチェックしてもらうことがおすすめです。
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