こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
歯周基本治療ではあまり効果が得られない場合に行われるのが歯周外科治療です。
歯周外科治療にはいろいろな方法がありますが、中でも歯周基本治療では治りが遅いけれど、症状そのものはまだ軽い場合に選ばれるのが組織付着療法です。
今回は、歯周外科治療の一つである組織付着療法についてお話しします。
■組織付着療法とは
組織付着療法とは、局所麻酔のもと、歯周ポケット内部にたまった細菌や細菌が生み出した毒素や歯根表面に染み込んだ汚れを取り除く歯周外科治療です。
その他の歯周外科治療と異なり、歯槽骨という歯を支えている骨を削ったり、形を整えたりする処置は行われませんし、歯ぐきの形を変えたりすることもありません。
不健康な歯ぐきや歯根に染み込んだ汚染物を取り除くことで、歯ぐきと歯根を再びくっつかせることを目的とした処置です。
組織付着療法の種類
組織付着療法には、歯周ポケット搔爬術・新付着術・フラップ手術などがあります。
いずれの処置も、局所麻酔のもとで行われます。
手術と言いますが、入院の必要はなく、歯科クリニックで十分可能な処置です。
■歯周ポケット搔爬術
歯周ポケット搔爬術は、局所麻酔をかけた上で、キュレット型スケーラーという器具を使って、歯周ポケット内の不健康な歯ぐきや歯石を取り除き、歯根の表面をきれいにする処置です。
不健康な歯ぐきや歯石を取り除いた後は、歯周ポケット内部をしっかりと洗浄して縫合します。
縫合して歯ぐきと歯根を密着させることで、不健康な部分を取り除いた歯茎が、歯石を取り除いてきれいになった歯根にくっつかせることを目的に行われます。
歯周ポケット搔爬術は、歯ぐきを切開して開くことがないので、歯周組織に与えるダメージが少なく、手術時間が短いのが利点です。
ですが、歯ぐきを開かないので、病巣部分を直接目で見ることができないのがデメリットです。
したがって、きれいにすることができるのは、ハンドスケーラーが届く範囲までなので、深いところの病巣の除去が十分できないリスクがあります。
適応症
歯周ポケットの深さが4〜5[mm]くらいの歯周病治療に適した処置です。
それ以上の深さの歯周ポケットであっても、全身的な病気の関係などで、歯周組織に与えるダメージを最小限にとどめたい場合にも、刺繍ポケット搔爬術が行われます。
禁忌症
6[mm]以上の深い歯周ポケットは、目で見えにくく、器具も届きにくいために、歯周ポケット搔爬術は適していません。
歯根の形が複雑な場合も歯周ポケット搔爬術は難しくなりますので、選ばれません。
■新付着術
歯周ポケット搔爬術では、不健康な歯ぐきをハンドスケーラーで取り除きますが、新付着術では、不健康な歯ぐきをメスを使って取り除きます。
不健康な歯ぐきや歯石を取り除いた後、縫合するなどして露出した健康な歯ぐきを歯根に密着させます。
こうすることで、健康な歯ぐきと歯根が再びくっつくようにする点は、歯周ポケット搔爬術と同じです。
適応症
歯周ポケット搔爬術と同じく、4〜5[mm]の深さの歯周ポケットのある歯周病治療に適応があります。
新付着術は、手術後に見た目に与える影響が少ないので、前歯の歯周病の外科治療にも適しています。
禁忌症
歯周ポケット搔爬術と同様に6[mm]以上の深い歯周ポケットの場合は、新付着術をしようにも届かないため、適していません。
■フラップ手術
フラップ手術とは、メスを使って歯ぐきを切開した後、歯ぐきを開いて、歯周病が進行した歯根部分を直接目で見ながら、炎症によって生じた不健康な歯ぐきを取り除いたり、歯石や歯根表面に染み込んだ汚染物を取り除いたりする処置です。
歯ぐきを切開して開きますが、歯槽骨の一番高いところが見える程度までしか開きませんので、歯ぐきに与えるダメージは少なく、手術後に歯ぐきのやせも生じにくい利点があります。
適応症
歯周ポケット搔爬術や新付着術では対応が難しい5[mm]以上の深い歯周ポケットに適応があります。
これは歯周病単独の問題とはいえませんが、歯ぐきよりも下側にむし歯が生じている場合でもフラップ手術と同時ならむし歯治療もできます。
禁忌症
全身的な病気により、外科処置を避けたほうがいい場合は、フラップ手術もできません。
プラークコントロールが悪い場合は、フラップ手術をしても効果が望めないばかりか、プラーク内に潜んでいる細菌などの影響によってかえって症状が悪くなるリスクがあるので、フラップ手術を受けられません。
■ウィドマン改良フラップ手術
ウイドマン改良フラップ手術も、フラップ手術と目的は同じです。
フラップ手術との違いは、歯ぐきを切開して開く範囲です。
フラップ手術では、歯ぐきを開く範囲が歯槽骨の頂上付近までですが、ウイドマン改良フラップ手術では歯槽骨から2〜3[mm]くらいの範囲までとなります。
フラップ手術と同様に、歯槽骨の切除や整形術は行われません。
■まとめ
今回は、歯周外科治療の一つである組織付着療法についてお話ししました。
組織付着療法は、歯周ポケット内部の細菌や細菌が生み出した毒素を取り除き、歯根の表面をきれいにすることで、歯ぐきと歯根が再びくっつくようにするために行われる処置です。
組織付着療法には、歯周ポケット搔爬術や新付着術、フラップ手術などがありますが、歯槽骨を削ったり、形を整えたりすることはありません。
いずれの処置も、歯周ポケットが深い重症の歯周病の歯には適応できませんが、歯周組織へのダメージは少なく、処置時間も長くないのが利点の処置です。
大田区鵜の木にある野原歯科医院
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