噛んだ時に歯が痛い(咬合性外傷)

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

歯周病には、歯肉炎や歯周炎などのいろいろなタイプがありますが、中には噛み合わせによって起こるタイプもあります。

それが咬合性外傷です。

歯周病は、歯周病菌が原因で起こる病気として知られているので、噛み合わせによって起こる歯周病があるというと驚かれるかもしれません。

今回は、噛み合わせによって起こる歯周病である咬合性外傷についてお話しします。

■咬合性外傷とは

歯を支えている組織を歯周組織と言います。

歯周組織は、歯を支えている歯槽骨という骨だけではなく、歯ぐき、歯根の表面についているセメント質、歯槽骨とセメント質をつなげている歯根膜という薄い靭帯のような組織から成り立っています。

咬合性外傷とは、これら歯周組織が受け止められないほどの強い噛み合わせの力を受けることで、歯周組織が破壊されてしまう病態のことです。

歯周組織がダメージを受けるので歯周病の一症状とされているのです。

外傷性咬合との違い

咬合性外傷とよく似た言葉に、外傷性咬合があります。

外傷性咬合とは、咬合性外傷を起こしやすい噛み合わせをいいます。

具体的には、当たりすぎているなどの噛み合わせの関係がよくない被せ物や詰め物のことを言います。

ですから、外傷性咬合とは咬合性外傷を引き起こす原因と考えるといいでしょう。

■咬合性外傷の分類

咬合性外傷には、一次性咬合性外傷と二次性咬合性外傷の2種類があります。

一次性咬合性外傷

一次性咬合性外傷は、歯周病になっていない正常な歯周組織に過度な噛み合わせの力が作用して起こる咬合性外傷です。

二次性咬合性外傷

二次性咬合性外傷とは、すでに歯周病の症状が見られる歯に噛み合わせの力が作用して起こる咬合性外傷です。

歯周組織がしっかりとしていれば、何の問題もない噛み合わせであっても、歯周病が進行したことにより噛み合わせに対する支えが足りなくなると、歯周組織をさらに破壊してしまうことがあります。

つまり、咬合性外傷を起こした歯がすでに歯周病に侵されていたのか、そうでないのかによって一次性か二次性かに分類されているというわけです。

どちらの咬合性外傷も、歯周組織がダメージを受けるという点では違いはありません。

■咬合性外傷の原因

被せ物や詰め物

現在のむし歯治療では、むし歯になった部分を削って詰める、もしくは被せ物をつけて治す治療が行われています。

他の歯との噛み合わせのバランスを考えて、詰め物や被せ物の高さを決定しますが、高さが高いとその歯に過度な力がかかるようになり、咬合性外傷を引き起こします。

噛み合わせのくせ

咬合性外傷は、詰め物や被せ物をしていない歯にも起こります。

その原因は、歯ぎしりや食いしばりといった噛み合わせのくせです。

歯ぎしりや食いしばりをしていると、特定の歯に強い噛み合わせの力がかかり、その歯に咬合性外傷を引き起こされるのです。

歯周病

歯周病は、歯周組織に起こる病気です。

初期症状である歯肉炎は歯ぐきが腫れるだけなのですが、歯周炎に発展すると歯槽骨が吸収されて破壊されていきます。

歯槽骨は歯を支える重要な役割を担っています。

そのために歯を支えられなくなり、通常の噛み合わせの力にも耐えられなくなるのです。

歯周病も咬合性外傷の原因なのです。

■一次性咬合性外傷が起こる理由

咬合性外傷を起こさない健康な歯の場合、噛み合わせると、噛み合わせによって歯に加わった力は、歯根膜全体で均等に受け止められます。

一方、被せ物や詰め物の高さや歯ぎしりや食いしばりなどの噛み合わせのくせにより、過度な力が加わった歯では、歯根膜全体で均等に力を受け止めることができません。

歯根膜の一部に強い力が加わるようになります。

すると、強い力が加わった部分では、その力に歯槽骨が耐えられず、吸収されて減っていきます。

そして、次第に歯がぐらぐらと動くようになります。

こうして咬合性外傷が起こるのです。

■咬合性外傷の症状

咬合性外傷の症状としてまず挙げられるのが、歯の動揺です。

歯は生理的動揺といって、健康な状態でも少しは動きますが、咬合性外傷になると揺れ幅、揺れる方向が広がり、本数も増えてきます。

歯の位置が移動したり、噛み合わせの面が強く磨り減ったりもします。

また、歯ぐきが腫れたり、噛み合わせると痛みを感じて噛めなくなったりすることもあります。

■咬合性外傷の検査

一次性咬合性外傷

一次性咬合性外傷では、まず歯周病かどうかを調べます。

歯周病であれば、二次性咬合性外傷になるからです。

その上で、臨床症状とレントゲンの検査が行われます。

臨床症状としては、歯がどれくらい動いているのかが重要となります。

レントゲン検査では、歯根膜が広がっているかどうか、歯槽骨がどれくらい減っているかをチェックします。

そして、咬合性外傷を引き起こすような噛み合わせの有無、歯ぎしりや食いしばりといった噛み合わせのくせの有無を調べます。

二次性咬合性外傷

二次性咬合性外傷は、歯周病の検査が行われます。

そして、臨床症状として歯の動揺度を、レントゲン検査として歯槽骨の吸収状況や歯根膜がどのような状態になっているかなどを調べます。

■咬合性外傷の治療法

グラグラと動いている歯があれば、隣の歯と接着剤などを使って繋げる暫間固定術(ざんかんこていじゅつ)を行います。

噛み合わせが良くない場合は、被せ物や詰め物の噛み合わせの調整、咬合調整を行います。

なお、被せ物や詰め物がない歯であっても、噛み合わせが良くないなら咬合調整します。

歯並びに問題がある場合は、矯正歯科治療で歯並びを整えることもあります。

もちろん、歯周病が背景にある場合はその治療もします。

このように、原因や症状に応じていろいろな治療が行われます。

■まとめ

今回は、咬合性外傷についてご紹介しました。

咬合性外傷は、被せ物や詰め物の噛み合わせ、噛み合わせのくせ、歯周病などによって起こります。

健康な歯に起こる一次性咬合性外傷、歯周病によって起こる二次性咬合性外傷がありますが、どちらの場合も歯周組織にダメージがもたらされます。

治療は、暫間固定術や咬合調整、歯周病治療など原因や症状に応じて行われます。

もし、噛み合わせに違和感がある、被せ物や詰め物をしてからどうも歯の調子がおかしいなどといったときは、咬合性外傷かもしれませんので、一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。

大田区鵜の木にある野原歯科医院

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