こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
「歯茎が腫れて受診したら、クラリスロマイシンという薬を処方された」「以前もらったクラリスロマイシンが手元にあるけれど、歯茎の腫れに飲んでもいいの?」
このような疑問をお持ちの方は少なくないようです。今回は、クラリスロマイシンと歯茎の腫れの関係について、歯科医師の立場からご説明します。
クラリスロマイシンとはどんな薬?
クラリスロマイシンは、マクロライド系とよばれるグループに属する抗菌薬(抗生物質)で、細菌の増殖を抑えるはたらきがあります。
のどや気管支の感染症、皮膚の感染症など幅広い場面で使われている薬なので、内科などで処方されて飲んだことのある方も多いかもしれません。クラリス®やクラリシッド®という名前で処方されることもあります。
歯茎の腫れの多くは細菌感染が原因
歯茎が腫れる原因はさまざまですが、多くの場合は細菌の感染が関わっています。代表的なものを挙げます。
- 歯周膿瘍:歯周病などが原因で、歯茎の中に膿がたまった状態
- 智歯周囲炎:親知らずの周りの歯茎に炎症が起きた状態
- 根尖性歯周炎:歯の根の先に膿がたまり、歯茎まで腫れてくる状態
細菌感染によって膿がたまるほど腫れている場合、その治療の一つとして抗菌薬が処方されることがあります。歯周膿瘍について詳しくは、歯肉がはれて痛い(歯周膿瘍)の記事もあわせてご覧ください。
クラリスロマイシンは歯茎の腫れに使われる?
歯科で細菌感染に抗菌薬を使う場合、最初に選ばれることが多いのはアモキシシリン(サワシリン®など)というペニシリン系の抗菌薬です。
ただし、ペニシリン系にアレルギーがある方などには、代わりにクラリスロマイシンをはじめとするマクロライド系の抗菌薬が選ばれることがあります。つまり、クラリスロマイシンも歯科の感染症に使われることのある薬の一つです。
どの抗菌薬を使うかは、症状や原因、体質、ほかに飲んでいる薬との組み合わせなどをふまえて、診察したうえで判断します。同じ「歯茎の腫れ」でも、適した薬は人によって異なりますし、薬の効果の感じ方にも個人差があります。
抗菌薬だけでは治らないことが多い理由
ここで知っておいていただきたいのは、歯茎の腫れの多くは、抗菌薬を飲むだけでは根本的には治らないということです。
腫れのおおもとには、歯周ポケットの中の細菌や歯石、歯の根の中の感染といった「原因」があります。抗菌薬で一時的に腫れが引いても、原因がそのまま残っていれば、繰り返し腫れてくることが少なくありません。
そのため歯科では、膿の出口を作って排出させる処置や、歯石・プラークを取り除く歯周病の治療、原因になっている歯の治療などを行い、抗菌薬はそれを助ける位置づけで使うのが基本です。
手元に残っている薬を自己判断で飲むのは避けてください
「前にもらったクラリスロマイシンが残っているから、それを飲んでおこう」というのは、おすすめできません。理由は主に3つあります。
- 量や期間が足りず、中途半端になりやすい:不十分な飲み方は、細菌が薬に強くなる「耐性菌」を生む原因になり得ます。
- 受診が遅れてしまう:薬で腫れや痛みが一時的にまぎれると、原因の治療が遅れ、かえって悪化してから受診することになりかねません。
- 飲み合わせの確認ができない:クラリスロマイシンは、一緒に飲むのに注意が必要な薬が比較的多い抗菌薬です。処方の際は、お薬手帳などで飲んでいる薬を必ずお知らせください。
処方されたときの服用の注意点
クラリスロマイシンに限らず、抗菌薬を処方されたときは次の点に気をつけてください。
- 腫れが引いてきたように感じても、指示された量と日数を飲み切る
- 下痢や味覚の変化などの気になる症状が出たら、処方を受けた医療機関に相談する
- 妊娠中・授乳中の方、持病のある方は、あらかじめお伝えいただく
こんな症状があれば早めに受診を
歯茎の腫れに加えて、次のような症状がある場合は、放置せず早めに歯科を受診してください。
- 発熱があり、顔やあごの下まで腫れが広がってきた
- 口が開きにくい、飲み込みにくい
- 腫れや痛みが日ごとに強くなっている
炎症が広がっているサインの可能性があり、早めの処置が大切です。
まとめ
今回は、クラリスロマイシンと歯茎の腫れについてお話ししました。
クラリスロマイシンは歯科の感染症にも使われることのある抗菌薬ですが、どの薬が適しているかは診察のうえでの判断になりますし、薬だけで腫れの原因そのものを治すことは難しいのが実際のところです。手元に残っている薬を自己判断で飲むのは避けて、まずは歯科医院にご相談ください。
大田区鵜の木にある野原歯科医院
野原歯科医院は東京にある、多摩川線鵜の木駅より徒歩6分のところにございます。
提携駐車場は12台ございます。
野原歯科医院は、東京都大田区鵜の木周辺にお住いの方の歯の健康を第一に考えております。
歯茎の腫れが気になるときも、東京都大田区鵜の木のかかりつけの歯医者として、お気軽にぜひ、ご相談ください。
