こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
本日は、親知らずを抜いた後の腫れについてお話しします。
親知らずの抜歯というと、抜歯後の腫れや痛みが強いというイメージがあると思います。
すべての親知らずの抜歯で強い腫れや痛みが出るわけではないのですが、他の歯の抜歯と比べるとその頻度が高いのは間違いありません。
これから親知らずの抜歯を受ける方からよく聞かれるのが、「抜歯後の腫れはどれくらい続くのでしょうか?」という質問です。
親知らずの抜歯は、”すごく腫れる”というイメージがあるのでごもっともなご質問です。
そこで今回は、親知らずを抜いた後の腫れについて、腫れる理由や腫れのピークも含めて、ご説明します。
親知らずの抜歯後の腫れについて
親知らずの腫れについてご説明します。
原因
どんな歯でも抜歯を受けると、体の組織の一部が傷つきます。
これを元の状態に戻そうとして、修復する役割の細胞を届けようと血液やリンパ液が抜歯したところに集まってきます。
これを炎症反応といい、炎症反応の結果、腫れてきます。
言い方を変えると、腫れるのは抜歯による傷を治すためなのです。
親知らずの多くは、”横向きに倒れている””一部しか生えていない””骨に埋まっている”など、きちんと生えていません。
このため、抜歯に際して、歯肉を切開したり、骨を削ったりしますから、自ずと傷も大きくなり、結果として傷を治すために腫れも強くなります。
親知らず以外の歯の抜歯でそれほど腫れが強くならないのは、歯肉の切開や骨の削合などが必要なく、傷が大きくならないからです
したがって、親知らずを抜歯したとに腫れるのは、自然な反応と言えます。
腫れのピーク
親知らずの抜歯後の腫れは、抜歯から24~48時間でピークをむかえ、その後数日かけて、自然に引いていきます。
お顔が腫れるほどの強い腫れ方であっても、引くのに時間はかかりますが、ピークは同じです。
もし、48時間以降もさらに腫れが増してくる場合は、細菌感染が起きたなど、治りが悪化している可能性が考えられます。
氷水で冷やさないで
腫れると、多くの方が氷水などで冷やそうとします。
氷水で冷やすと、感覚が鈍くなるので楽になったように感じるのですが、実は治りに悪影響を及ぼします。
先ほどお話ししたとおり、腫れるのは親知らずの傷を治そうとする自然な反応の結果です。
傷を治すための細胞を集めるために、血管やリンパ管が広がります。
リンパ球が活動する体温は38~39℃ですので、冷やすとリンパ球の働きが弱まります。
また氷水で冷やすと、せっかく広がった血管やリンパ管が縮んでしまうため、傷を治す細胞が集まりにくくなり、治りを悪くしてしまいかねません。
親知らずを抜いた後に、たとえお顔まで腫れたとしても、氷水で冷やすのはやめてください。
親知らずを抜歯した後の治りについて
親知らずの抜歯後の正常な治りの過程についてご説明します。
治りに関係する組織、歯根膜
いずれの歯も、歯根の表面は歯根膜という薄い組織が覆っています。
歯根膜には、歯と骨を結びつける役割があり、歯根膜があるから歯はしっかりと骨におさまることができるようになっています。
これは親知らずも同じで、たとえ骨の中に埋まっている親知らずであっても、歯根膜が親知らずと骨を結びつけています。
歯を抜くと、歯根膜がちぎれます。
そして、抜いた歯の歯根表面だけでなく、骨の表面にも歯根膜が残ります。
治りのプロセス
①血餅の形成
歯を抜いてできた骨の穴の表面に歯根膜がきちんと残っている場合、抜歯により生じた穴は、血液で満たされます。
お口の中は唾液で潤っているため、お肌のようなカサブタはできません。
血液がネバッとした感じに固まる血餅(血餅)という状態になって、抜歯でできた穴を塞ぎ、守ります。
②肉芽組織への変化
抜歯した穴の血餅は、1週間前後で弱い肉芽組織に変わります。
肉芽組織とは、傷が治る過程で作り出される若い細胞が集まったやわらかい組織です。
赤色からピンク色をしています。
③骨の土台ができる
やわらかかった肉芽組織は、およそ20日ほどで硬くなり、その後、仮骨(かこつ)という新しい骨の土台に変わっていきます。
④穴が塞がれる
歯を抜いた穴の表面は、周囲の歯肉から新しい歯肉ができて覆われていきます。
このプロセスは、歯を抜いてから4日目くらいから始まります。
そして、抜いた歯のサイズにもよりますが、抜いた穴は1ヶ月半以内に歯肉で覆われて塞がれます。
⑤骨ができる
抜いた穴が歯肉で覆われて塞がれても、骨はまだ再生していません。
抜歯した穴を塞いでいる仮骨は、6~12ヶ月ほどの期間を経て、骨に変わり、抜歯後の治りが完了します。
まとめ
今回は、親知らずを抜歯した後の腫れについてお話ししました。
親知らずを抜歯して腫れるのは、傷を治す細胞を抜歯したところに集めるために血管やリンパ管が広がるからです。
このこと自体は他の歯を抜いたときも同じなのですが、親知らずの抜歯では”歯肉を切開する””骨を削る””歯を削る”など傷が大きくなるため、腫れが強くなる傾向があります。
腫れのピークは、抜歯後24~48時間で、それから数日かけて引いていきます。
腫れると氷水などで冷やしたいところだと思いますが、かえって治りを悪くしかねないので、それはやめてください。
当院では、親知らずの診療もしています。
親知らずを抜いた後の治りで不安のある方は、当院でぜひご相談ください。
大田区鵜の木にある野原歯科医院
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