保険診療と自費診療のPMTCの違いについて

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、保険診療と自費診療のPMTCの違いについてお話しします。

こんにちは

歯の表面をツルツルしたきれいな状態にする処置をPMTCといいます。

PMTCは、保険診療の適応となるPMTCと、そうでない自費診療のPMTCの2種類あります。

両者の間にはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、PMTCの違いについてお話しします。

PMTCについて

まずはPMTCという処置についてお話しします。

PMTCは、Professional Mechanical Tooth Cleaning(プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーニング)という英語名の頭文字を合わせた言葉です。

日本語では、歯科医師や歯科衛生士が器械を使って行う歯のクリーニングというような意味合いになります。

目的の違い

保険診療のPMTCと自費診療のPMTCでは目的も異なります。

保険診療のPMTC

日本の保険診療は病気やケガの治療が対象です。

保険診療の対象となるのは、歯周病などの病気の治療の一環として行われるPMTCです。

このようなPMTCであれば、保険診療で受けられます。

自費診療のPMTC

保険診療の適用外となるPMTCは、美容や予防を目的としたPMTCです。

例えば歯周病でもなく、歯石もついていない、けれども着色汚れはついているような場合に行うPMTCです。

したがって、歯周病の検査は行いません。

受けられる医療機関の違い

保険診療と自費診療では、受けられる医療機関にも違いがあります。

保険診療のPMTC

保険診療のPMTCを受けられるのは、保険医療機関として厚生労働大臣から指定された医療機関に限られます。

担当医も保険歯科医として登録を受けた歯科医師でなければなりません。

自費診療のPMTC

保険医療機関でなくても受けられます。

歯科医師や歯科衛生士であれば、担当医も制約されません。

PMTCの進め方の違い

進め方にも違いがあります。

保険診療のPMTC

保険診療で治療を受ける場合には、まず病気があるかどうかを調べなければならないので、検査が欠かせません。

PMTCも同じで、PMTCに取りかかる前にまず歯周病の検査します。

①歯肉の検査

歯周病の検査としては、歯周基本検査、もしくは歯周精密検査を行います。

歯周ポケットという歯と歯肉の間の溝の深さや歯の揺れ具合を測ったり、歯肉の腫れ具合を調べたりします。

また、歯を染め出しして歯周病の原因である歯周病菌が潜むプラークのつき具合も調べますし、歯肉から出血するなら、その状況も同時に調べます。

歯周基本検査は、歯周ポケットの深さを歯1本につき1ヶ所、そして歯の揺れ具合を測るだけですが、歯周精密検査になるとさらに詳しくチェックします。

②レントゲン写真撮影

歯周病の症状は歯肉だけでは判断が難しいです。

骨の状態も調べなければなりませんので、レントゲン写真も撮影します。

レントゲン写真は、パノラマエックス線写真というお口全体を一度に写すレントゲン写真か、歯を2~3本ずつ写すデンタルエックス線写真が多いです。

お口全体の状況を見るにはパノラマエックス線写真が、細かなところをチェックするにはデンタルエックス線写真が適していますので、状況に応じて使い分けます。

③スケーリングとルートプレーニング

歯周病の診断がくだったら、すぐにPMTCをするわけではありません。

PMTCに先立って、スケーリングとルートプレーニングをします。

これは、歯石を取り除く処置です。

PMTCでは歯石を取り除くことはできませんので、あらかじめスケーリングとルートプレーニングにより歯石を取り除いておく必要があるのです。

簡単にいうとスケーリングは見えている部分の歯石やプラークを取り除く処置、ルートプレーニングは歯根の表面についた歯石やプラークなどを取り除く処置です。

④PMTC

ここまですむと、ようやくPMTCです。

PMTCでは、歯科の診療台についている機械にポリッシングブラシやポリッシングカップなどを取り付けます。

そして、歯面研磨用ペーストなどを使って、歯の表面を磨いていきます。

ポリッシングブラシやポリッシングカップには、硬さや形にいろいろなタイプがあります。

歯の形や歯の並び方に応じて、適切なものを選んできれいに磨きます。

スケーリングやルートプレーニングなどにより歯周病を治療した歯の表面をツルツルした状態にすることでプラークがつきにくくし、歯周病の再発を予防します。

自費診療のPMTC

①プラークの染め出し

自費診療のPMTCでは、歯周病の検査やレントゲン写真撮影は必要ありません。

歯を美しい状態にするためには、プラークをきれいに取り除く必要があるので、プラークの染め出しを行い、プラークを探します。

②歯石の除去

歯石も美容上の問題となりますので、PMTCの前に取り除きます。

③PMTC

例えば、タバコのヤニのように、歯の隙間の狭いところまで、とても頑固にこびりついた着色汚れはポリッシングブラシやポリッシングカップは届きにくいので取り除くのは困難です。

しかし、タバコのヤニは美容の観点から言うと取り除いておきたい着色汚れです。

そこで、とても細かなクリーニングパウダーを歯に吹き付けることで細かなところまできれいにするエアフローというジェットタイプのクリーニングを行います。

クリーニングパウダーは、重炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムを主原料としているので、健康には全く問題ありません。

エアフローなら矯正治療中の方も、複雑な矯正装置の隅々まできれいにできます。

もちろん、ポリッシングブラシやポリッシングカップ、歯面研磨用ペーストを使ったPMTCも行います。

費用の違い

PMTCにかかる費用も全く異なります。

保険診療のPMTC

日本の保険診療は、基本的には医療費の3割を窓口でお支払いいただき、残りの7割を健康保険から給付する仕組みになっています。

歯の本数や検査の内容によって違いがあります

パノラマエックス線写真、歯周基本検査、スケーリング、PMTCなどであれば、歯が20本以上ある方の場合、初診料や再診療を除き、3割負担で3000円くらいです。

自費診療のPMTC

自費診療のPMTCは全額自己負担です。

しかも、費用もそれぞれの歯科医院が独自に設定していますので、歯科医院毎に異なります。

一般的には、保険診療で受けるよりも高額になります。

まとめ

今回は、保険診療のPMTCと自費診療のPMTCの違いについてお話ししました。

保険診療と自費診療のPMTCでは、目的も進め方も全く違います。

もちろん、費用も異なり自費診療は高額です。

当院では、保険診療のPMTCを受けていただけます。

もし、PMTCにご興味のある方は、当院でぜひご相談ください。

※当院では、国民皆歯科健診という国の医療政策の方向性が示される前より、歯の健康だけでなく、全身的な健康維持の面から予防歯科に積極的に取り組んでいます。

定期的に行う健診や、予防歯科へのサポートをさせていただきます。

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