こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
本日は、歯肉の炎症で歯磨きがしにくいときの歯の磨き方についてお話しします。
歯磨きは、虫歯や歯周病などお口のトラブル予防のためにとても大切です。
ですが、中には歯肉が腫れたり、出血したりするなどして歯磨きがしにくくなっている方もいらっしゃることでしょう。
実は、歯肉が腫れたり痛んだりしたとき、歯磨きをおろそかにすると、かえって症状が悪化することも珍しくありません。
歯肉の腫れや痛み、出血などで歯磨きがどうしても辛いときは、どのようにして歯を磨けばいいのでしょうか?
そこで、今回は歯肉が腫れたり出血したりしたときの歯磨きの方法についてお話しします。
歯磨きしたら出血するとき
比較的よく起こるのが、歯磨きのときの出血です。
これは、歯肉炎や歯周炎、もしくは親知らずの炎症によって歯肉が炎症を起こした場合に起こります。
出血した血液によって歯周病の原因菌を減らすと考えられています。
まずは、歯ブラシの選び方です。
毛先の硬さですが、出血程度の症状なら、ふつうがいいでしょう。
続いて歯ブラシの持ち方です。
歯ブラシを持つときは、鉛筆を持つように持ちましょう。
この持ち方は、この後ご紹介する歯磨き方法のときにも共通です。
そして、毛先が広がらない程度の軽い力で歯に当ててください。
毛先が広がるようでは、強く当てすぎている可能性があります。
たくさんの歯を一度に磨こうとしないで、1~2本ずつくらいで磨くようにしてください。
そして、1本1本を意識しながら、2~3mm程度の動かし幅で小刻みに動かして磨きましょう。
強く磨きすぎると、症状が悪化しかねないので、優しく丁寧な歯磨きを心がけてください。
少々出血しても、気にしないで磨いてください。
2週間ほども続ければ、出血しにくくなってきますよ。
歯肉が腫れて痛いとき
歯肉炎や歯周炎が悪化してくると歯肉が腫れるだけでなく、痛みも伴うようになります。
歯肉が痛みを伴う腫れを生じているときは、いくら歯磨きしようとしても、腫れた歯肉に歯ブラシが当たると痛く、なかなかできないものです。
このようなときは、歯ブラシはやわらかめを選んでください。
そして、歯を磨くとき、歯肉に歯ブラシの毛先が当たらないようにしましょう。
そのまま、なるべく力を入れないで、歯に軽く当てるような感じで磨いてください。
歯ブラシの動かし方は、1箇所につき20回以上を目標に細かく振動させてください。
時間がかかりますが、できるだけゆっくり磨く方がいいでしょう。
口内炎が生じているとき
口内炎といえば、一般的に10日~2週間前後で治ってくるアフタ性口内炎が代表的です。
ところが、中には、治るまで数ヶ月、場合によっては年単位という期間がかかるような難治性の口内炎もあります。
例えば扁平苔癬(へんぺいたいせん)とよばれるタイプの口内炎です。
扁平苔癬は、原因がよくわかっていない口内炎です。
症状も一般的な口内炎と異なり、痛みが全くないもの、ただれたもの、お口を開けると突っ張った感じになるもの、食べ物や歯磨き剤が染みるものなど症状は多彩です。
残念ながら治療法も確立されていません。
このような方は歯磨きのとき、たとえ腫れや痛みがなくても、口内炎のところを刺激しないように歯を磨いていただきたいです。
そこで歯ブラシは、”ふつう”から”やわらかめ”を使ってください。
歯を磨くときには、歯ブラシの毛先が歯肉ではなく、歯冠の方向に向くように歯ブラシを当てて、小刻みに動かすようにしましょう。
歯ブラシが入りにくい方
扁平苔癬や腫瘍の摘出手術後などでみられるのですが、頬の粘膜が硬くなって、広がらなくなっている方がおられます。
粘膜が硬くなりゆとりがなくなると、歯ブラシを入れるスペースが減ってしまいます。
そのようなときは、厚みの薄い歯ブラシを選ぶようにしてください。
そして、頬と歯肉の間に滑り込ませるような感じで歯ブラシを入れましょう。
歯ブラシの動かし方は、小さく細かく動かすようにするのがポイントです。
このように歯ブラシを工夫して入れても、もっとも奥の歯の後ろ面は歯ブラシは届きません。
奥歯の後ろ面は、タフトブラシという更に毛先がコンパクトになっている歯ブラシで磨くようにしてください。
お口の乾燥化で磨きにくい方
お口は、唾液によって湿り気を得ていますが、加齢や病気、薬の副作用などにより唾液が出にくくなることがあります。
お口が乾燥すると、粘膜が傷つき、出血しやすくなるばかりか、汚れも強くこびりつき取り除きにくくなります。
強くこびりついた汚れをそのまま取り除こうとすると、痛みや出血を生じます。
このようなときは、いきなり歯磨きしようとしないで、まずはお口を湿らせることが大切です。
洗口剤によるうがいを定期的にするほか、市販されているお口用の保湿剤などを使って、お口の中を湿った状態に保ちましょう。
お口が湿った状態になると、歯肉の炎症も落ち着きますし、お口の汚れも取り除きやすくなります。
まとめ
今回は、歯肉の炎症などにより、歯が磨きにくくなっている方の歯磨き方法についてお話ししました。
腫れや出血などで歯磨きがしにくいときでも、歯は磨いておかなければ、さらに炎症が進んでしまいます。
そこで、
①歯ブラシはふつうかやわらかめを選ぶ
②鉛筆を握るように持つ
③毛先が広がらない程度で軽く歯に当てる
④1~2本ずつ、2~3mm幅で小刻みに磨く
このような感じで磨いてみてください。
2週間ほど続けると、出血や腫れが落ち着くようになります。
このほか、口内炎やお口の乾燥などにより磨きにくい方も、これをベースにして厚みの薄い歯ブラシを選ぶ、保湿する、タフトブラシを使うなどの工夫を加えて歯を磨くようにするといいでしょう。
歯の磨き方は、人それぞれ適した方法は異なるものです。
当院では、虫歯や歯周病を予防する観点から、日常の歯磨きによるプラークコントロールにも力を入れています。
もし、歯肉の炎症や口内炎などにより歯が磨きにくいという方は、当院でぜひご相談ください。
※当院では、国民皆歯科健診という国の医療政策の方向性が示される前より、歯の健康だけでなく、全身的な健康維持の面から予防歯科に積極的に取り組んでいます。
定期的に行う健診や、予防歯科へのサポートをさせていただきます。
大田区鵜の木にある野原歯科医院
野原歯科医院は東京にある、多摩川線鵜の木駅より徒歩6分のところにございます。
提携駐車場は12台ございます。
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東京都大田区鵜の木のかかりつけの歯医者として、お気軽にぜひ、ご相談ください。