知覚過敏を防ぐブラッシング

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、知覚過敏を防ぐブラッシングについてお話しします。

知覚過敏といえば、冷たい食べ物や飲み物をお口に含んだときに、歯がキーンとしみる症状が代表的ですが、歯磨きのときに歯ブラシの毛先が触れることで起こることもあります。

つまり、歯磨き、つまりブラッシングとも密接に関係した病態ということもできます。

そこで、今回は知覚過敏とブラッシング方法についてお話しします。

知覚過敏とは

知覚過敏とは、正式には象牙質知覚過敏症という病気です。

知覚過敏の原因

歯の内部は象牙質でできていますが、象牙質の内部には歯の神経につながる象牙細管という非常に細い管が縦横無尽に走っています。

歯冠はエナメル質で覆われているので、健全な状態で象牙質が露出することはありません。

しかし、歯ぐきが下がって歯根が露出すると、歯根はエナメル質に覆われていないため、象牙質が露出します。

露出した象牙質の表面には、象牙毛菅というストローの集合体があり、象牙細管の一方の穴の部分が開いています。

中には液体が入っていて、冷たい物で中の液体が収縮して、神経が引っ張られるので痛みます。

逆に熱い物で膨張するので神経が押され痛みを感じます。

悪化しかねない知覚過敏

知覚過敏が進行すると、歯ブラシの刺激だけでもしみるようになります。

すると、歯磨きがしにくくなり、露出した象牙質部分にプラークが残ったままになってしまいます。

プラークの中には虫歯の原因菌がたくさん入っており、それらが乳酸という酸を作り出し、さらに象牙質を溶かすことで、知覚過敏がさらに悪化していきます。

悪化した知覚過敏のため、さらに歯磨きがしにくくなり・’・・という悪循環で、さらに症状が悪化していく恐れがあります。

知覚過敏で悩んでいるときのおすすめケア方法

知覚過敏で辛いときのおすすめケア方法をご紹介します。

歯ブラシの持ち方

持ち方はえんぴつを持つ様にして、握らないでください。

その持ち方で自分の手の甲をこすり、痛みがない力で磨きましょう。

歯ブラシの毛先の硬さは『ふつう』

歯ブラシの毛先の硬さは、『やわらかめ』『ふつう』『かたい』の3種類あります。

知覚過敏を防ぐためにおすすめな硬さは、『ふつう』です。

『かたい』毛先は、汚れを効率的に取れると思われがちですが、実際のところは『ふつう』とさほど差はありません。

それどころか、歯ぐきに強く当ててしまうと、歯ぐきが下がる原因ともなりかねません。

『やわらかい』毛先は歯ぐきに優しいので、歯周病で歯ぐきが腫れている方にも使っていただきやすい硬さなのですが、汚れを取るという効果で比較してみると『ふつう』に劣ってしまいます。

『ふつう』の毛先は、汚れの除去効果も高く、歯ぐきを下げる原因にもなりにくいので、歯ブラシを選ぶときは『ふつう』がおすすめです。

知覚過敏用の歯磨き剤を使う

知覚過敏の症状のある方は、知覚過敏用の歯磨き剤を使って歯を磨くことをおすすめします。

知覚過敏用の歯磨き剤には、歯の神経が敏感になるのを抑える『硝酸カリウム』や、知覚過敏の原因となる象牙細管を塞ぐ『乳酸アルミニウム』などの薬効成分が入っています。

知覚過敏用の歯磨き剤を使うと、知覚過敏の症状を緩和する効果が得られます。

フッ素入りの歯磨き剤もおすすめ

フッ素は、虫歯予防で有名ですが、知覚過敏の歯にも有効です。

フッ素の虫歯予防効果はいろいろありますが、そのひとつが虫歯菌の作り出す酸に歯を溶かされにくくする、つまり歯を強くする働きです。

また、酸に溶かされた歯を回復させる再石灰化という働きもあります。

フッ素が配合された歯磨き剤で歯を磨くのも、知覚過敏を防ぐ効果的な方法です。

フッ素は、『フッ化ナトリウム』もしくは『モノフルオロリン酸ナトリウム』という名前の薬効成分として配合されています。

最近では、フッ素濃度を1450ppmまで高めた高濃度フッ素入り歯磨き剤も販売されています。

高濃度フッ素入り歯磨き剤は、6歳未満の方には使えませんので、ご家庭に6歳未満の方がいらっしゃるご家庭では、共用しないようにご注意ください。

知覚過敏対策の点からも、フッ素入り歯磨き剤はおすすめです。

研磨剤の多い歯磨き剤は避ける

歯磨き剤の中には、研磨剤がたくさん入っているものがあります。

研磨剤は、歯の着色汚れを落とす目的で配合されているのですが、エナメル質が削れる原因ともなります。

研磨剤が多い歯磨き剤で歯を磨くと、少しずつ歯が削れていきます。

着色汚れを防ぐにはいいのですが、知覚過敏という点からみるとおすすめできません。

冷たい水でのうがいは避ける

ブラッシングの後、みなさんうがいをなさいますよね。

このとき、冷たい水ではなく、少しぬるめのお水でうがいをするようにしてください。

夏場は水道水そのものが温かくなっていますから、そのままでもいいですが、冬場は水道水が冷たくなっていますので、ご注意ください。

知覚過敏を予防するには正しいブラッシングが大切

知覚過敏を引き起こす主な原因は、歯ぐきが下がって、本来歯ぐきで覆われているはずの歯根が露出することです。

視点を変えると、歯ぐきさえ下がって来なければ、知覚過敏は起こらないとも言えます。

知覚過敏の原因は歯ぐきが下がることだけではないので、それだけで知覚過敏が防げるわけではありません。

しかし、これが知覚過敏の原因の大部分を占めているので、歯ぐきが下がらないようにすることは、知覚過敏を防ぐ上でとても重要です。

歯ぐきが下がる原因のほとんどは、不適切なブラッシングにあります。

すなわち、歯ぐきの部分まで強く歯ブラシで擦ってしまうことです。

知覚過敏にならないようにするためにも、ご自身にあった歯ブラシを使って、正しいブラッシングをするようにしてください。

■まとめ

今回は、知覚過敏のときのお口のケア方法などについてお話ししました。

歯が知覚過敏でしみやすくなっている方は、

①歯ブラシの硬さは『ふつう』にする

②知覚過敏用の歯磨き剤を使う

③フッ素入り歯磨き剤も効果あり

④研磨剤が入っている歯磨き剤は避ける

⑤冷たい水でうがいをしない

などが効果的です。

また、知覚過敏を起こさないためには、歯ぐきが下がらないようにするのが一番です。

そのためには、正しくブラッシングをすることが大切です。

当院では、ブラッシングの方法やお口のケアのための歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスの選び方などもご説明しています。

もし、正しいブラッシング方法やケア用品の選び方がよくわからないという方は、当院でぜひご相談ください。

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