こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
本日は、歯磨き剤に含まれる薬効成分についてお話しします。
オーラルケア用品として最も身近なのが、歯磨き剤です。
現在発売されている多くの歯磨き剤は、歯をきれいにするという歯磨き剤本来の働きだけに止まりません。
いろいろな薬効成分が配合されており、歯を磨くと同時に、歯やお口の健康をアップする効果が得られます。
歯磨き剤のパッケージをよくみると、配合されている薬効成分が書いてありますよね。
ですが、薬効成分を見ても実際にどんな効果があるのか、なかなかわかりにくいというものです。
そこで、今回は歯磨き剤に含まれている薬効成分について、効果ごとに分けてご説明します。
医薬部外品と化粧品の違い
たくさんの歯磨き剤が販売されていますが、大きく分けるとわずか2種類しかありません。
”医薬部外品”か”化粧品”です。
歯磨き剤のパッケージをよく見ていただくと、どちらかが書かれているはずです。
医薬部外品とは、薬効成分が配合されて、病気の予防や症状の改善が期待できる歯磨き剤です。
一方、化粧品の歯磨き剤には薬効成分が配合されていません。
化粧品の歯磨き剤に含まれているのは、研磨剤や清掃剤、発泡剤、香料などです。
物理的な汚れの除去はできますが、病気の予防や症状の改善はできません。
言い換えると、化粧品の歯磨き剤は、歯をきれいにするという本来の目的に特化した歯磨き剤、医薬部外品の歯磨き剤は、歯をきれいにするのはもちろん、歯やお口の健康を保つ薬効成分も配合した歯磨き剤といえます。
歯磨き剤に含まれる薬効成分のご紹介
医薬部外品の歯磨き剤には、薬効成分が配合されています。
配合されている薬効成分は、予防したい、もしくは改善させたい症状に応じていろいろあります。
虫歯予防
虫歯予防の薬効成分は、みなさんよくご存知のフッ素です。
歯磨き剤には、フッ化物として配合されており、薬効成分の名称は『フッ化ナトリウム』『モノフルオロリン酸ナトリウム』です。
どちらも、虫歯の原因菌の活動性を抑える作用、虫歯で溶かされたところを修復する再石灰化作用、歯を強くして溶かされにくくする作用で、虫歯を予防します。
現在、日本で発売されている歯磨き剤に含まれるフッ化ナトリウムの濃度は、1450ppmと950ppmの2種類が主流です。
虫歯予防の効果が高いのは、もちろん濃度が高い1450ppmの方です。
両者を比較した研究によれば、歯磨きの後に唾液中に溶け出したフッ素濃度で比較してみると、1450ppmの方が950ppmの2倍の濃度になっていたそうです。
1450ppmと950ppmでは、1.5倍程度の差でしかありませんが、唾液中では2倍もの差があるというのですから、1450ppmを選ばない手はありません。
ただし、1450ppmの高濃度タイプは、6歳未満のお子さんには使うと歯にフッ素症という着色を生じる可能性があるため、使用できませんのでご注意ください。
歯周病予防
虫歯と並ぶ歯の病気が、歯周病です。
歯磨き剤には、歯周病を予防する薬効成分もあります。
歯周病予防の薬効成分としては、『IPMP(イソプロピルメチルフェノール)』、『LSS(ラウロイルサルコシンナトリウム)』、『CPC(塩化セチルビリジニウム)』、『CHX(塩酸クロルヘキシジン)』がよく使われています。
歯周病の原因は、プラークの中に潜んでいる歯周病菌です。
これらの薬効成分は、歯周ポケットの中のプラークにまで浸透することで、歯周病菌を殺菌し、歯周病を予防します。
歯肉炎対策
歯磨きをしたら歯ぐきから出血するという方は、すでに歯周病の症状が進行している可能性が高いです。
そのような方におすすめの薬効成分が、『THX(トラネキサム酸)』や『β-グリチルレチン酸』、『ε-ACA(イプシロン-アミノカプロン酸)』、『オウバクエキス』、『酢酸トコフェロール(ビタミンE)』、『アラントイン』です。
『THX(トラネキサム酸)』と『β-グリチルレチン酸』、『ε-ACA(イプシロン-アミノカプロン酸)』、『オウバクエキス』は、歯ぐきの腫れや出血を抑える抗炎症作用のある薬効成分です。
そして、『酢酸トコフェロール(ビタミンE)』や『アラントイン』には、歯ぐきの血行を促進するなどの効果で、歯周病で傷ついた歯ぐきを活性化して治す作用があります。
これらに加え、歯周病予防の薬効成分でご紹介した歯周病菌の殺菌成分を組み合わせるとより効果的です。
プラーク対策
プラークとは、歯の表面についた白いカスのような付着物です。
プラークには、虫歯菌や歯周病菌などの細菌が潜んでいますので、プラークを取り除くことが歯の健康への第一歩となります。
プラークへの薬効成分としては、『デキストラナーゼ』があげられます。
『デキストラナーゼ』には、プラークを分解して、プラークを取りやすくする作用があります。
着色汚れの予防
歯のステイン、つまり着色汚れを防ぎたい方におすすめの薬効成分は、『ポリリン酸ナトリウム』や、『PEG(ポリエチレングリコール)』、『PVP(ポリビニルピロリドン)』です。
『ポリリン酸ナトリウム』は、色素成分を分解する作用があり、歯の表面の着色汚れの色素を分解します。
ホワイトニングの薬剤と違って歯の内部まで染み込むことがないので、あくまでも歯の表面の色素成分の分解効果しかありませんが、歯磨き剤に配合することで手軽に歯をきれいにすることができます。。
『PEG(ポリエチレングリコール)』や、『PVP(ポリビニルピロリドン)』は、着色汚れの元となっている汚れを溶かして取り除きやすくする効果があります。
知覚過敏の予防
知覚過敏に効果のある薬効成分としては、『乳酸アルミニウム』『硝酸カリウム』が挙げられます。
知覚過敏、正しくは象牙質知覚過敏症といいますが、この症状は歯の中に開いている象牙細管という顕微鏡レベルの小さな穴が露出して起こります。
『乳酸アルミニウム』は露出した象牙細管を塞ぎ、『硝酸カリウム』は歯の神経に冷たい飲み物などから伝わる刺激を緩和し、知覚過敏の症状を抑えます。
まとめ
今回は、歯磨き剤に含まれている薬効成分についてご紹介しました。
歯磨き剤には、今回ご紹介した薬効成分がすべて含まれているわけではありません。
メーカーがより重視したい効果効能から、いくつかの薬効成分を組み合わせて配合されています。
そこで、歯磨き剤をお選びになるときには、ご自身が重視したい効果効能から選んでみるのもいいでしょう。
例えば虫歯予防を重視したいなら、フッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムの配合されている歯磨き剤を、知覚過敏予防なら、乳酸アルミニウムや硝酸カリウムといった具合です。
今後の歯磨き剤選びに、今回ご紹介した薬効成分を参考にしてください。
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