乳歯の虫歯を放置した結果生じるターナー歯

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、乳歯の虫歯を放置した結果生じるターナー歯についてお話しします。

後から生えてくるべき永久歯の先天欠如歯などごく一部の例外を除いて、ご存知の通り乳歯は永久歯に生えかわり、なくなっていきます。

そのため、乳歯の虫歯は痛くないなら放っておいても良いと思っている方はおられませんか。

そんなことありませんよ。

いつかは生えかわるからといって、乳歯の虫歯を放っておくと生じる病気があります。

それが、ターナー歯です。

ターナー歯とはどのような病気なのでしょうか。

今回は、ターナー歯についてお話しします。

ターナー歯はエナメル質の形成不全症

ターナー歯は、永久歯のエナメル質の形成不全症のひとつです。

ターナーの歯ともいいますが、どちらも同じです。

歯は、内部の軟らかい象牙質を骨よりも固い硬さをもつエナメル質で覆って守る構造をしています。

エナメル質の形成不全とは、このエナメル質がきちんと作られていない状態を指します。

ターナー歯は、乳歯が抜けたあとに生えてくる歯ならどの永久歯にも生じ得ますが、特に発生しやすい傾向があるのが上顎の第一小臼歯(前から数えて4番目の歯)と第二小臼歯(前から数えて5番目の歯)です。

なお、乳歯から生え変わって生えてくるわけではなく、全く歯並びに加わるように生えてくる第一大臼歯(6歳臼歯)と第二大臼歯(第一大臼歯の後ろに生えてくる永久歯)がターナー歯になることはありません。

ターナー歯の原因

ターナー歯の原因は、放置した乳歯の虫歯です。

乳歯も永久歯と同じく虫歯になると、歯の頭の部分に穴が開き、どんどん広がっていきます。

やがて、乳歯の歯髄(神経の部分)に到達すると、歯の歯髄に虫歯菌が感染します。

そして歯髄は壊死し、さらに虫歯菌は奥へと進んで行きます。

乳歯の根の先から虫歯菌は出ていきます。

すると、乳歯の根の先で免疫細胞の抵抗を受け、そこに膿を形成するようになります。

この膿こそが、ターナー歯の原因です。

永久歯の卵を歯胚(しはい)といいますが、歯胚があるのが乳歯の根の先です。

骨の中でじっと成長発育し続けている永久歯の歯胚に膿が入り込むことで、成長発育中の永久歯がダメージを受けてしまい、エナメル質がきちんと作られなくなってしまうのです。

ターナー歯の症状

ターナー歯では、歯の最も外側を覆っているエナメル質の成長発育が悪くなってしまいます。

健康なエナメル質は透明なのですが、エナメル質がきちんと作られなかった永久歯は透明でなくなります。

そのため、ターナー歯では歯の表面に白色や黄色がかった斑点が生じるなど、歯の色に違いが生じます。

またエナメル質がきちんと作られないため、歯の表面にくぼみが生じることもあります。

こうした歯の表面の斑点やくぼみは歯のごく一部に限って現れている場合もあれば、歯全体に及ぶようなケースまで範囲はさまざまです。

ただし、乳歯の虫歯が原因なので、お口全体の永久歯がターナー歯になることはなく、先行して生えている乳歯が深い虫歯になってしまった永久歯に限られます。

ターナー歯の治療法

では、ターナー歯にはどのような治療を行うのでしょうか。

フッ素で歯を強くする

ターナー歯は、歯の最も外側で歯を守っているエナメル質がしっかりできていないので、虫歯に対する抵抗力が低い傾向があります。

そこで、フッ素塗布やフッ素のうがいなどにより、歯そのものを強くして虫歯になりにくくします。

プラークコントロール

虫歯予防の基本は、虫歯菌が潜んでいるプラークを取り除くプラークコントロールです。

虫歯リスクの高いターナー歯も同じで、十分なプラークコントロールで、お口全体を虫歯になりにくい環境にする必要があります。

プラークコントロールをしっかり行うためには、ご自宅での歯磨きに加え、歯科医院での定期的な歯のクリーニングが大切になります。

そこで、歯磨きの適切な方法をご説明するブラッシング指導を行ったり、専用の器械を使って歯の汚れを取り除くPMTCという処置でどうしても磨けないところのプラークを取り除いたりします。

コンポジットレジンで治す

コンポジットレジンとは、歯の色に似たプラスチック製の詰め物のことです。

エナメル質に生じたくぼみの部分をコンポジットレジンで埋めて治します。

ターナー歯の予防法

では、永久歯がターナー歯にならないようにするにはどうすればいいのでしょうか。

乳歯の虫歯予防

ターナー歯にならないようにするには、乳歯に虫歯ができないようにするのが1番の予防法です。

ご家庭でのていねいな歯磨きやフッ素のうがいや歯磨き剤に加え、定期的な歯科医院でのフッ素塗布などで乳歯の虫歯を予防しましょう。

乳歯の虫歯治療

定期的に歯科医院を受診して、虫歯の有無を調べると同時に、乳歯に生じた虫歯をできるだけ早期に発見してもらいましょう。

ごく初期の段階で発見できれば、コンポジットレジンというプラスチック製の詰め物を使ってすぐに治すことができます。

乳歯の根管治療

虫歯が歯髄にまで及んだ、もしくは及びそうなほど進行してしまった場合は、乳歯の根の治療を歯科医院で受けて、根の先に影響を及ぼすのを防ぎます。

乳歯の抜歯

虫歯が進行して歯がほとんどなくなってしまったような乳歯は残念ですが、抜歯しなくてはなりません。

なお、生え替わりの時期よりも早く抜歯した乳歯は、次に生えてくる永久歯のスペースがなくなってしまうリスクがあります。

そこで、保隙(ほげき)という永久歯が生えるスペースを確保する処置を行い、スペースを確保しておく必要があります。

まとめ

今回は、乳歯の虫歯を放置した結果、次に生えてくる永久歯に生じるターナー歯という症状についてお話ししました。

ターナー歯の原因は、進行した乳歯の虫歯です。

乳歯はいずれ抜けて永久歯に替わるからという理由で虫歯を放置していると、次に生えてくる永久歯のエナメル質の成長発育にダメージがおよび、永久歯のエナメル質がきちんと作られなくなってしまうからです。

つまり、ターナー歯は予防できる病気なのです。

ターナー歯を予防するには、

①乳歯の虫歯を予防する

②乳歯の虫歯を初期段階で治しておく

など虫歯が深くならないうちに早く治しておくことが大切です。

もし、虫歯が深くなったら

③乳歯の根を治療する

④抜歯する

などにより、ターナー歯を予防することができます。

乳歯の段階から、定期的に歯科医院で乳歯を検査してもらい、虫歯予防と虫歯の早期発見早期治療に努めてましょう。

当院は、ターナー歯をはじめとしてお子さんの虫歯治療の経験の多い歯科医院です。

もちろん、定期的な乳歯の検査や虫歯の予防処置も行っています。

もし、お子さんの歯に不安な点のある方は、当院でぜひご相談ください。

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