親から子へもうつる歯周病菌

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、親から子へもうつる歯周病菌についてお話します。

お口の中の病気は、虫歯や歯周病が有名です。

実際、これらは世界で最も多い感染症のひとつとも言われています。

虫歯の原因菌が親から子へと伝わることはよく知られていますが、実は歯周病菌も親から子へと移ります。

しかし、こちらはあまり知られていないようです。

そこで今回は、親から子へとうつる歯周病菌とその予防法についてお話します。

垂直感染と水平感染について

病原性のある微生物が体内に侵入して、何らかの症状が出る病気を感染症と言います。

歯周病は歯周病菌によって引き起こされる病気ですから、したがって感染症のひとつになります。

感染症を引き起こす病原微生物の体内への侵入するルートを感染経路と言いますが、感染経路は大きく分けると垂直感染と水平感染の2種類になります。

垂直感染とは、妊娠時や出産時に親から子へとうつる感染経路です。

水平感染とは、それ以外の感染経路です。

インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスも水平感染というわけです。

では、歯周病菌はどのルートで感染を生じるかというと、水平感染になります。

水平感染は、接触感染や飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4種類あり、これらを適切に制御することが感染予防の基本です。

歯周病菌の種類

歯周病菌とひとことで言っても、その種類はなんと800種類以上もあります。

800種類もあるからといって、心配することはありません。

実は、その大多数は歯周病菌とは言いつつも歯周病を引き起こす能力の低い歯周病菌たちで、特に歯周病を引き起こしやすいとされる歯周病菌は、それほど多くありません。

歯周病を引き起こしやすい歯周病菌

特に歯周病を引き起こす原因となりやすい細菌は、P.g菌・T.d菌、T.f菌、A.a菌です。

それぞれ正式にはフォルフィロモナス・ジンジバリス、トレポネーマ・デンティコラ、タネレラ・フォーサイセンシス、アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンスと言います。

中でも、P.g菌・T.d菌、T.f菌の3種類は特に成人の歯周病への関与が強いとされるレッドコンプレックスというグループに分類されています。

歯周病菌によって異なる感染のパターン

歯周病菌の広がり方は、菌によって異なる傾向が示されています。

親から子へと感染しやすい歯周病菌

親から子へと広がりやすい歯周病菌は、A.g菌、つまりアクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンスという歯周病菌です。

かつて古畑任三郎という刑事ドラマで、主人公の古畑任三郎が連呼していた歯周病菌です。

これは、10代〜20代にかけて発症する若年性歯周炎というタイプの歯周病の原因菌です。

若年性歯周炎という名前がつくほど発症年齢が一般的な歯周病菌と比べて低いことから、A.g菌は親から子への感染が最も疑われており、遺伝子検査でも同じ遺伝子が示されることが多い傾向があります。

若年性歯周病の怖いところは、若くして歯を失いやすいという症状です。

親御さんがもし、若くして歯がぐらぐらとして失った経験がお有りなら若年性歯周炎になっていた可能性が考えられます。

そのような方なら、A.g菌を保菌している可能性がありますので、要注意です。

夫婦間で感染しやすい歯周病菌

今回のテーマとは少し異なりますが、せっかくなので夫婦間でも広がりやすい歯周病菌をご紹介します。

それはP.g菌、つまりフォルフィロモナス・ジンジバリスです。

夫婦間で、P.g菌を採取して遺伝子を調べてみたところ、生まれも育ちも異なるにもかかわらず、多くの夫婦間で遺伝子が共通していたという研究結果が出ました。

そのため、P.g菌は夫婦間で広がる歯周病菌と考えられています。

歯周病菌の感染経路

歯周病菌は、唾液を介して感染が広がっていくと考えられています。

親から子への感染経路

親から子への歯周病菌の感染経路は、食事がほとんどだと考えられています。

わかりやすいところでは、親御さんが食べながら、そのときに使ったお箸やスプーンなどの食器を使って、お子さんに食べさせるという例があります。

熱い食べ物や飲み物を息を吹きかけて冷ます、食後の歯磨きの後のうがいのときに同じコップを使う、歯ブラシ立てのなかで歯ブラシの毛先が当たる、こうした直接的には接触してなさそうに見える行為も、唾液の接触につながります。

夫婦間での感染経路

夫婦間でのP.g菌の感染経路は、キスにあると考えられています。

キスすることで、相手に唾液が伝わるということですね。

このことからも、歯周病菌が、子供の時期だけでなく、成人してからも感染する機会が続くことがわかります。

お子さんに歯周病菌をうつさないために

では、お子さんに歯周病菌をうつさないためにはどうすればいいのでしょうか。

大人の唾液に触れる機会をなくす

親御さんからお子さんへ歯周病菌がうつっていく経路は、食器の共有や食べ物の口移しなどが多いと考えられています。

そこで、熱いものを息を吹きかける冷まし方、親御さんが噛んで柔らかくする食べさせ方、スプーンやフォークの共有、歯磨きの後のうがいのときも含めたコップの共有、親御さんが使ったお箸で取り分ける食べ方、などをしないようにしてください。

また、大皿に盛ったお料理は、各自がそれぞれ使っているお箸やスプーン、フォークでとるのではなく、必ず取り箸を使って取り分けるようにしましょう。

こうすることで、歯周病菌の入った唾液がお子さんにうつるリスクを大幅に減らすことができます。

なお、気をつけなければならない範囲は、親御さんからの歯周病菌の感染だけではなく、おじいさんやおばあさんなどその他の大人も含まれますから、ご注意ください。

親御さんの歯周病菌を減らす

一度、お口に入り込んだ歯周病菌を取り除くことはできません。

ですから、親御さんのお口の中から歯周病菌を駆逐することはできないのですが、菌の数を減らすことはできます。

歯周病菌は、歯の表面のプラークの中に潜んでいます。

プラークとは、歯の表面についている白いカスのようなもののことです。

プラークを取り除く、つまりプラークコントロールが歯周病菌を減らすカギです。

そこで、まず食事の後の歯磨きをするときに、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間までしっかり行うことです。

その上で、ご自身での歯磨きで取り除けないところについているプラークや歯石などを歯科医院で定期的に取り除いてもらいましょう。

こうすることで、歯周病菌を減らし、お子さんにうつすリスクを減らしましょう。

まとめ

今回は、歯周病菌の感染経路についてお話ししました。

歯周病菌は、子供の頃はA.g菌、大人になるとP.g菌というように子供の頃から大人にかけて、常に何らかの歯周病菌に感染する機会が続くことがわかっています。

しかも、歯周病菌は一旦感染を起こすと、その菌を取り除くことはできません。

ただし、歯周病菌に感染したからといっても、歯周病菌の菌数そのものが少なければ、歯周病菌が歯周病を起こす可能性は低くなりますし、何より、お子さんをはじめとして他の方にうつしてしまうリスクも下がります。

歯周病菌の数を減らすのは歯周病治療と、毎日の歯磨き、つまりプラークコントロールです。

お子さんを歯周病から守るためにも、この機会に親御さんの歯周病検査、そして必要に応じた治療を受けるようにすることが大切です。

当院は、歯周病治療もしっかりと行っています。

歯周病に不安のある方、歯周病の経験のある方は、ぜひ、お子さんへのリスクを減らすためにも一度当院でご相談ください。

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