前歯がきちんと生えかわらないと過剰歯が埋まっている?

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、前歯がきちんと生えかわらないなら過剰歯が埋まっているのかもについてお話しします。

上顎の前歯が、片方だけ永久歯に生え変わって、残りの乳歯がなかなか永久歯に生えかわらないと、不安に思いますよね。

また、前歯の隙間がいつまで閉じず、すきっ歯のままだと困りますね。

そのようなとき、もしかしたら、上顎の前歯に余分な歯、過剰歯(かじょうし)が埋まっているのかもしれません。

今回は、上顎にしばしば見られる過剰歯についてお話しします。

過剰歯とは

過剰歯とはどのような歯のことなのでしょうか。

過剰歯とは

歯は、乳歯の場合で20本、永久歯の場合で28本(親知らずを含めれば32本)です。

これよりも多い歯、つまり余分な歯を過剰歯といいます。

過剰歯は、普通の歯と比べると、サイズは小さい上に、形もおかしいことが多く、正常な歯と容易に見分けられます。

もちろん、非常にレアなことですが、普通の歯と同じサイズや形をしていることもないわけではありません。

普通の歯のように生えている場合もあれば、埋まっていて骨の中に隠れている場合もあります。

埋まったままになっている歯を埋伏歯(まいふくし)といい、埋まっている過剰歯の場合は、埋伏過剰歯とよばれます。

中には、上下逆さまに埋まっていることもあります。

原因

どうして過剰歯が発生するのか、今のところ原因はよくわかっていません。

歯の卵とも言える歯胚という組織が過剰にできてしまう、必要以上に分裂して増えてしまうなど、いろいろ考えられていますが、はっきりとはしていません。

症状

過剰歯自体は、余分な歯というだけのことなので、痛みや腫れなどの自覚症状が現れることはありません。

歯並びがおかしい、レントゲン写真にたまたま写ったなどの理由で偶然発見される場合がほとんどです。

上顎正中過剰埋伏歯

上顎正中過剰埋伏歯とは

過剰歯の中でも、上顎の前歯の根元付近に埋まっているタイプは発生頻度が高いことで知られてます。

そこで、このタイプの過剰歯を特に上顎正中過剰埋伏歯(じょうがくせいちゅうかじょうまいふくし)と名付けています。

上顎正中過剰埋伏歯の症状

上顎正中過剰埋伏歯は、その名前の通り埋まっているわけですから、一見しても全くわかりません。

他の過剰歯と同じく、痛みも腫れもありません。

ただし、過剰歯が邪魔をして、前歯部の永久歯の生え変わりがスムーズに進まないことで発見されるケースがほとんどです。

具体的には、片方の永久歯だけ生え変わって、もう片方の乳歯が生えかわらない、前歯の永久歯の真ん中の隙間がいつまで経っても閉じない、などの症状です。

上顎正中過剰埋伏歯の検査

上顎正中過剰埋伏歯は、一見しても見えません。

レントゲン写真を撮影して確認する必要があります。

また、すでに生えている乳歯や永久歯と比較して、唇側(前側)に埋まっているのか、口蓋側(内側に)埋まっているのかを確認するために、CTを撮影することもあります。

唇側か口蓋側かは、上顎正中過剰埋伏歯を抜歯する際に、アプローチする方向を決定するためにたいへん重要な情報となります。

上顎正中過剰埋伏歯の処置

上顎正中過剰埋伏歯は、自然に生えてくることはまず期待できません。

永久歯の生え替わりへの影響をできるだけ早い時期に解消するためにも、抜歯することが推奨されています。

上顎正中過剰埋伏歯は完全に埋まっている歯ですので、局所麻酔でできますが、その抜歯は歯茎を切開して摘出しなければなりません。

その他の前歯の生え替わりに影響する病気

前歯の生え替わりに影響する病気は、上顎正中過剰埋伏歯だけではありません。

歯牙腫

歯胚の異常から発生する良性腫瘍です。

歯胚の異常から発生することから、腫瘍の中に小さな歯のような組織が入っているのが特徴です。

これが、乳歯と永久歯の間に生じると、上顎正中過剰埋伏歯のように永久歯の生え替わりを邪魔しますので、前歯がきちんと生えかわらないことになります。

歯牙腫の場合も、痛みや腫れなどの自覚症状がない場合が大半です。

やはり、前歯がきちんと生えかわらないなどの理由でレントゲン写真を撮影して初めて見つかるという場合が多いです。

治療方針は摘出術です。

含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)

内部に液体を溜めた袋状の出来物のことを嚢胞(のうほう)と言います。

嚢胞には色々な種類があり、含歯性嚢胞はその一つで、埋もれた状態にある歯、つまり埋伏歯の歯冠を覆うように生じた嚢胞を指します。

嚢胞がこれから生えてこようとしている永久歯の頭の部分に生じると、生えてこようとするのを邪魔してしまいます。

その結果、永久歯が生えてこれなくなるのです。

含歯性嚢胞は、下顎の奥歯に生じることが多いのですが、まれに上顎の前歯に生じます。

含歯性嚢胞も、痛みや腫れなどの自覚症状はほとんどなく、レントゲン写真で発見されることが大半です。

上顎前歯部の含歯性嚢胞に対する治療方針は、嚢胞を作っている壁の一部を摘出して、永久歯を生えてきやすくする開窓(かいそう)術です。

まとめ

今回は、上顎の前歯がきちんと生えかわらない場合によくみられる過剰歯についてご説明しました。

上顎の前歯に影響するのは、上顎正中過剰埋伏歯だけではありません。

歯牙腫や含歯性嚢胞も上顎の前歯が生えてこない原因となりうる病気です。

どれも、痛みや腫れなどの自覚症状が乏しいのが特徴です。

上顎の前歯がきちんと生えかわらないときは、これらの病気が隠れていることがありますので、歯科医院でレントゲン写真を撮影してもらうことをおすすめします。

当院でも、もちろん上顎前歯部の検査は行っておりますので、生えかわりに不安を感じるようなら、ぜひご相談ください。

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