歯やお口のケガへの対処法

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、歯やお口のケガへの対処法についてお話しします。

お子さんは、膝を擦りむいたり、顔を打ったりと何かといろいろなケガをするものです。

歯やお口も同じで、ケガをすることも珍しくありません。

お子さんの歯やお口がケガをしたときはどのような対応をすればいいのでしょうか。

今回は、歯やお口のケガへの対処法、そしてケガをしないためのポイントなどについてご説明します。

歯やお口のケガの特徴

歯のケガは、上顎の前歯部が80%弱と大多数を占めます。

次いで、下顎の前歯部が続きます。

上顎と下顎の前歯部で、全体の90%以上なので、前歯部が大変多いことがわかります。

年齢では、1〜3歳ごろに多く見られます。

ケガをした場所は、50%弱が家庭内で、30%弱が道路や公園、15%が学校や保育園です。

ケガの様相は、乳児期は歯がぐらつく動揺や、歯茎に入り込んだりする嵌入(かんにゅう)などが多く、学童期になると歯が抜けてしまう完全脱臼が多くなります。

歯やお口のケガはまずは止血から

歯やお口をケガして、出血していたら、まず止血を試みてください。

出血していたら、お子さんが精神的に動揺してしまうと思いますので、気持ちを落ち着かせるためにも止血は大切です。

歯が抜けていたら、止血した後で抜けた歯を探すようにしてください。

もちろん、他に歯を探してもらえる人がいるのなら、同時に進めてもらってかまいません。

お口から出血の止め方

先ほどお話しした通り、お口から出血していたら、まず血を止めるようにしてください。

お口の中は、皮膚と比べて傷つくと出血しやすい傾向があります。

お口の中から出血を認めた場合は、できるなら出血している場所を探してください。

そして、誤って飲み込まないほどの大きさにガーゼやティッシュペーパーを丸め、出血しているところに当てて圧迫し、血を止めるようにしてください。

なお、血液を飲むと、後で嘔吐を引き起こすことがあるので危険ですから、ご注意ください。

歯が抜けてしまったら

抜けた歯が残せるかどうかのカギが歯根膜です。

歯根膜は、骨と歯根にある靭帯のような組織で、骨と歯を結びつけています。

つまり、歯が骨から抜け落ちないのは、歯根膜があるおかげといえます。

歯根膜がちゃんと残っているかどうかが、抜けた歯を戻せるかどうかのカギとなります。

歯が抜けたとき、そのままの状態にしていると、歯根膜が乾燥して細胞が死んでしまいます。

そこで、できるだけ歯根膜の細胞が死なないような手立てを取る必要があります。

なお、乾燥を防ぐために歯を水道水に浸すのは絶対にしないでください。

歯の保存液に浸す

歯の保存液は、24時間以上歯根膜の細胞を守り続ける効果のある専用保存液です。

未使用状態では、2年以上と保存期間もたいへん長く、費用も比較的手頃です。

保健室などに常備してある学校もあります。

歯の保存液は、歯根膜を守るには最も効果のある専用液です。

歯の保存液が手に入るなら、抜け落ちた歯をそのまま歯の保存液につけて、歯科医院まで持っていってください。

牛乳に浸す

歯の保存液など持っていないという方が大半でしょう。

そのような方は、牛乳がおすすめです。

牛乳は、適度なpHがあり、歯根膜細胞の保存効果が、唾液や生理食塩水よりも高いことが知られています。

確かに、牛乳の品質は製品ごろに統一性がなく、脂肪分の問題もありますが、一般のご家庭でも入手しやすいのが利点です。

歯の保存液がないなら、牛乳に保存して、抜けた歯を歯科医院に持っていくといいでしょう。

唾液に浸す

唾液も、歯根膜の乾燥を防ぐのに効果的です。

しかも、お口に歯を含むだけなので、利便性が大変高いです。

ただし、誤って飲み込んでしまう可能性がありますし、浸透圧の関係で歯根膜を良好に保つことはできないので、歯の保存液や牛乳が手に入らない場合の応急的処置に限ってください。

歯に血や土がついている場合

もし、見つけた歯に血や土がついている場合どうすればいいのでしょうか。

決して水道水で洗うようなことは絶対にしないようにしてください。

少しくらいの汚れなら、そのまま歯の保存液や牛乳に入れて歯科医院まで持っていってください。

汚れがたくさんついていて、どうしても気になる場合は、歯の保存液や牛乳で洗い流すくらいにして、きれいに取り除こうとまではしないでください。

歯がぐらぐらしたり入り込んだりしたら

歯が抜け落ちたりしなくても、歯がグラグラしたり、歯茎に入り込んだりしたときは、そのままの状態で、歯科医院に受診してください。

もし、抜けるか抜けないかというくらいの状態であれば、ガーゼをくわえさせて歯を誤って飲み込ませないように気をつけましょう。

歯が欠けたら

歯が欠けた場合、ご自身やご家庭でできることはほとんどありません。

欠けた歯が他の歯に当たらないように気をつけながら、そのままの状態で、歯科医院に来院してください。

ケガをした歯のケア

ケガをして歯科医院で治療を受けた歯も食後、きれいに保つ必要があります。

そこで、イソジンガーグルなどを薄めて作ったうがい薬を、指でほぐした綿棒につけて、ケガした歯を優しく拭くようにしてきれいにしてください。

歯やお口のケガを防ぐために

歯やお口のケガは、1〜2歳ごろと6〜7歳ごろに多く見られます。

0〜1歳まで

0歳児では転倒が最も多く、原因としてはベットやソファーからの転落が多いです。

また、生後5ヶ月を過ぎると、手にしたものを口に入れようとしがちなので、注意が必要です。

1〜2歳ごろ

1〜2歳ごろといえば、つかまり立ちから歩き始める時期で、転倒によるケガが増えてきます。

この時期は、体の重心が高いので転びやすい上に、転んだときに手で体を支えられず顔を強く打ちつけやすいのが特徴です。

お風呂などでの転倒もしばしば見られます。

転びにくくするためには、早い段階で歩かせようとするのではなく、はいはいを十分にさせて手足の運動機能をしっかりと発達させておくことが大切です。

3〜5歳

そして、3歳を超えると、転倒や転落が大半を占めていたケガの原因の割合に、衝突が増え始めます。

衝突を起こす相手は、室内に不用意に置かれているものと、移動可能なもので70%を占めています。

そこで、お部屋の中から、乳幼児が顔面を打ちやすい家具の配置を見直したり、アイロンやおもちゃをきちんと片付けたり、ポットや炊飯器などを子供の手の届かないところにおく、階段にはベビーゲートを設置するなどの対策を行いましょう。

まとめ

今回は、歯やお口のケガへの対処法や予防法などについてお話ししました。

歯やお口のケガは、上顎前歯が大部分を占め、その多くが家庭内で起こっています。

もし、お子さんが歯のケガを起こしたら、

①出血していたら、まず止血を試みる

②歯が抜けていたら歯を探す

この順序で進めることをお勧めします。

抜けた歯は、乾燥しないように歯の保存液や牛乳などに浸して歯科医院にご持参ください。

決して水道水に浸したり、水道水で洗ったりしてはなりません。

そして、できるだけ、早く歯科医院を受診するようにしてください。

当院は、お子さんのケガにも対応できます。

お子さんが歯やお口のケガをしたときなどは、まずはご連絡ください。

そのとき、ケガをした場所や時間、状況などもお知らせください。

大田区鵜の木にある野原歯科医院

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提携駐車場は12台ございます。

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