お子さんの歯やお口のケガの種類について

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

本日は、お子さんの歯やお口のケガの種類についてお話しします。

お子さんは、大人と比べると発達途上にあるので、身体的に未成熟なところが多く、予期しない状況にさらされた場合、大人以上にケガをしやすい傾向があります。

近年、子供の運動能力の低下が指摘されており、それに伴ってか、お子さんの歯やお口のケガも増加しつつあるようです。

実際にお子さんの歯やお口のケガをした場合、どのようなケガの仕方をするのでしょうか。

今回は、お子さんの歯やお口のケガの種類についてお話しします。

ケガをしやすい乳歯はどれ?

乳歯も永久歯と同じく、前歯から奥歯までありますが、全ての乳歯が等しくケガを起こすというわけではありません。

ケガをしやすい傾向がある乳歯もあれば、そうでない乳歯もあります。

最もケガをしやすい傾向があるのは、Aとよばれる最も真ん中にある前歯の乳歯です。

次いで、その隣となっています。

これらだけで、乳歯のケガの70%が集中しています。

その反面、乳臼歯とよばれる奥歯の乳歯のケガはほとんどありません。

このことから、転倒や衝突などにより前歯を打っていて、それが原因で乳歯をケガしている可能性が考えられます。

歯のケガの種類

お子さんの歯のケガと一言で言っても、実はいろいろな種類があります。

多い順にご紹介しますが、統計によって多少の差はあることはご了解ください。

脱臼(だっきゅう)

お子さんの歯のケガの中で最も多いのが、脱臼です。

全体の3分の1強を占めます。

脱臼は、さらに完全に抜けてしまう完全脱臼と、抜けずにグラグラとする不完全脱臼に分けられます。

完全脱臼は、歯のケガの中で最も重症なケガです。

乳歯の場合は、教科書的には抜けた歯を元の位置に戻す再植はしてはならないとされています。

もちろん、ケースバイケースですので、症状によっては戻すこともあります。

そこで、後から生えてくる永久歯のために、保隙(ほげき)装置というものを作って、永久歯が生えてくるためのスペースを失わないようにします。

永久歯の完全脱臼は、原則的に再植します。

不完全脱臼は、隣の歯を利用して、固定して安静を図ります。

震盪(しんとう)

震盪とは、国語辞典を引くと激しく動くという意味で、脳震盪が有名ですが、歯にも起こります。

歯のケガの3分の1弱がこれです。

歯の震盪は、歯茎からの出血も歯の動揺も認めませんし、レントゲン写真でも異常はありません。

そのため、歯を打撲したけれど、何かしらの症状が認められない歯のケガのように思われがちですが、実は歯の神経がダメージを受けていたと言うことも珍しくありません。

もし、歯の神経がダメージを受けていた場合は、しばらく経ってから歯の色が変色してきたり、歯茎が腫れてきたりします。

歯冠破折(しかんはせつ)

歯冠とは、歯の歯茎から上の部分のことです。

歯冠破折は、歯のケガの1割強にみられ、3番目に多い歯のケガです。

歯冠破折には、ヒビが入った不完全破折から、パリッと割れて取れてしまう完全破折まであります。

特に、割れて破折片が取れてしまった場合、歯の神経が露出することもあります。

転位(てんい)

転位とは、外力を受けた歯が、正常な歯の並びからはみ出してしまうことです。

側方脱臼ともいいます。

歯の位置がずれてしまうわけですが、必ずしもぐらぐらと動いているとは限りません。

なお、転位、次にご紹介する歯根破折、嵌入は、いずれも数%程度の頻度で、発生率に明確な差はありません。

生え変わりが近い歯でなければ、元の位置に戻して固定します。

歯根破折(しこんはせつ)

歯根破折は、歯の歯茎から下の部分、つまり根の部分が割れてしまう歯のケガです。

歯根破折は、歯根のどの部分で折れたかによって、その後の対応に違いが生まれます。

根の先3分の1までの範囲ならそのままで経過観察、歯冠側3分の1なら抜歯、その間の破折は隣の歯と接着して固定となります。

したがって、レントゲン写真での破折位置の特定がとても大切になります。

嵌入(かんにゅう)

嵌入とは、歯が歯茎や、歯を支えている歯槽骨の中に入り込んでしまう歯のケガです。

嵌入は、乳歯に限らず永久歯でも起こりうる歯のケガですが、乳歯の場合、たとえ嵌入したとしても、自然に出てきて治ることが多い傾向があります。

積極的な整復処置をとらなくても、数ヶ月後には元に位置に戻っていることもあり、この点が永久歯の嵌入例との大きな違いです。

挺出(ていしゅつ)

挺出は歯のケガの中であまり頻度は高くなく、1%程度です。

挺出は、歯が抜けかかっている状態で、歯が伸びたような感じに見えます。

歯茎から出血しただけの軽い状態から、文字通り抜け落ちる寸前のものまで、幅広い症状が特徴です。

中には、歯槽骨という骨の骨折を併発しているケースもあります。

歯以外のケガ

お口のケガは、歯だけではありません。

上唇小帯(じょうしんしょうたい)

上唇小帯とは、上唇から上顎の前歯の歯茎に伸びている筋のことです。

前歯の付近をケガしたとき、この部分がしばしば裂けます。

裂けた傷を裂傷(れっしょう)といい、傷口を合わせて縫合することが多いのですが、この上唇小帯の裂傷の場合は、縫合せずにそのまま経過観察となることが多いです。

舌の裂傷

舌の裂傷もしばしば認めます。

舌の裂創の原因としては、噛むことでケガをした咬傷が多いのですが、歯ブラシやお箸でケガをすることもあります。

歯肉の擦過傷(さっかしょう)や裂傷

擦過傷とは、擦り傷のことです。

歯茎の表面部分の一部が剥がれたような感じになります。

また、歯茎にも裂傷を生じることもあります。

裂傷の深さによっては、縫合して閉じることもあります。

口唇の擦過傷や裂創

唇にも歯茎と同じく、擦過傷や裂傷を生じます。

唇の場合、屋外で転倒した場合などに多いのですが、砂利や木片などが入り込んでいることがあり、それらをきれいに取り除く必要があります。

まとめ

今回は、お子さんの歯やお口のケガについてご紹介しました。

お子さんの歯のケガは、

歯の脱臼と震盪がおよそ3分の1ずつで、次いで歯冠破折が多く、この3種類で過半数を占めます。

歯以外のケガには、

上唇小帯や舌、歯茎、唇に裂傷や擦過傷などがみられます。

歯やお口のケガの多くは、放置することなく適切な治療を受けた方がいいケースが大半です。

当院は、お子さんのケガの診療経験も多く、お子さんが歯やお口に何らかのケガをした場合、一度ご相談ください。

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