間違って飲んでしまった(外れた被せ物や詰め物を飲み込んでしまったときの対処法について)

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

現代の虫歯治療では、削って詰めたり被せたりする修復治療が主流となっています。

被せ物や詰め物は、強い接着剤でしっかりとつけますが、接着剤が経年劣化を起こして接着力が低下したり、虫歯が再発したりするなどいろいろな理由で被せ物や詰め物は外れてしまいます。

外れても、お口から吐き出せればいいですが、万が一飲み込んでしまったときはどうすればいいのでしょうか。

今回は、被せ物や詰め物を誤嚥したときの対処法についてお話しします。

■とても怖い誤嚥

被せ物や詰め物に限らず、異物の誤嚥は非常に危険なことです。

誤嚥って何?

口から肺へつながる空気の通り道を気道といいます。

誤嚥とは、食べ物を含めた異物が誤って気道に入り込んだ状態のことです。

似たような言葉に、誤飲がありますが、こちらは食べ物以外の異物が気道ではなく食道(食べ物の通り道)』に入り込んだ状態を指す言葉なので、全く異なる概念となります。

誤嚥の怖さ

誤嚥が生じると、気道に異物が詰まり、窒息を引き起こす可能性があります。

これは、生死に直結する非常に危険な状態です。

息苦しそうな仕草を認めた場合は、気道からすぐに異物を取り出さなければなりません。

さもなければ、心停止に至るリスクが高く、異物の除去にかけられる時間的余裕は、5分もないかもしれません。

■誤嚥のサイン

誤嚥による窒息が起こったときには、声に出して知らせることはできません。

なぜなら、息を吐かないと声は出せない、ところが窒息すると異物が挟まって息ができなくなるからです。

そのようなときには、声に出せない代わりに、息苦しさを示すサインを出していることが多いです。

チョークサイン

チョークサインとは、喉に手を当てて、何かが詰まったことを教えようとする仕草です。

実はこのサインは、世界共通の窒息を示すサインといわれています。

また、手足をバタつかせて、苦しいことを伝えようとすることもあります。

チアノーゼ

寒い時期など、唇が青紫色になったことありませんか?

この唇が青紫色になった状態をチアノーゼとよび、血液中の酸素濃度が低下していることを示しています。

食事中などに急にチアノーゼを認めた場合は、誤嚥による窒息を起こしている恐れが考えられます。

激しい咳き込み

異物が気管にまで入り込んだ場合、激しい咳が現れます。

長く続く咳と熱

気管からさらに下方の気管支にまで異物が入り込むと、気管に入ったときのような激しい咳は治り、軽い咳が長く続くようになります。

そして、肺炎を起こし熱も出ます。

■誤嚥による窒息が起こったときの対処法

窒息が起こったときは、慌てず急いで正確な対処をすることが大切です。

①声が出せるか?

声が出せるなら、気道が異物で塞がっていても、完全に塞がっているわけではなく、呼吸できる状態であると考えられます。

そのようなときは、咳をすることで異物を吐き出させるようにしましょう。

咳をしても異物を出せないなら、取り除いてもらうために救急車を呼んでもいいでしょう。

②異物を取り出せるか

お口を開けてもらい、異物が見えるようなら、指で取り出しましょう。

難しそうなら、掃除機で吸い込むという方法もあります。
このとき、注意点があります。

座ったままや立ったままの姿勢で異物を取り出そうとすると、さらに奥に入り込んでしまうこと
があります。

横向きに寝た姿勢で異物を取り出すようにしてください。

③腹部突き上げ法

腹部突き上げ法は、ハイムリック法ともよばれる誤嚥が生じたときのオーソドックスな対処法です。

この方法は、まず誤嚥した方の後ろにまわり、両腕を誤嚥した方のお腹の前に回します。

そして、片手で拳を作り、もう片方の手でその拳を握ります。

その手をおへその上辺りに当てて、上向きに強く力を加えます。

これにより気道内の圧力を高めて、異物を吐き出させるのです。

④背部叩打法(はいぶこうだほう)

腹部突き上げ法では異物が取り出せないときや、赤ちゃんや小さなお子さんの場合に行われる方法が背部叩打法です。

まず、誤嚥した方の頭を胸よりも低くし、胸のあたりに手を当てます。

そして、もう片方の手の付け根付近を両肩の肩甲骨の間あたりに当て、上向きに強く叩くと言う方法です。

これでも異物が取り出せない場合は、救急対応となりますが、ここまで試してから救急車を呼ぶのでは手遅れになることも考えられます。

異物が詰まったことが明らかになった時点で、救急車に連絡を取り、到着するまでの間に異物を取り出すようにすることをおすすめします。

⑤胸部突き上げ法

1歳未満の赤ちゃんが誤嚥した場合には背部叩打法だけでなく、この胸部突き上げ法が行われるケースもあります。

赤ちゃんに詰め物や被せ物治療は行われませんが、おもちゃや硬貨など思いもかけないものを飲み込むこともあるので、書かせていただきました。

胸部突き上げ法では、赤ちゃんを頭を下に向けて抱え、胸骨の下半分のあたりを2本の指で強く圧迫します。

このとき、後頭部をしっかりと固定することを忘れないようにしてください。

■まとめ

今回は、被せ物や詰め物を誤って飲み込んでしまったときの対応についてお話ししました。

①飲み込んだものを誤嚥したのか、誤飲したのかをまず確かめる

②チョークサインやチアノーゼを認めたら誤嚥の可能性が高い

③声が出せるなら咳き込ませる、異物が見えるなら指で取り出す、そうでなければ腹部突き上げ法や背部叩打法を試す

誤嚥による窒息は、数分で死に至ることもあるとても恐ろしい状態です。

慌てず急いで正確に対処することが大切です。

今回の誤嚥発生時の対処法は、被せ物や詰め物だけでなく、そのほかいろいろな異物の誤嚥にも共通する話なので、ぜひ参考にしてください。

大田区鵜の木にある野原歯科医院

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