【歯科医師が教える】歯茎が腫れた時の原因と応急処置

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

今回は歯が腫れた時の応急対応についてお話しします。

今までなんともなかった歯ぐきが急に腫れてくることがあります。

もし、歯ぐきが腫れてきたら、どうすればいいのでしょうか。

もちろん、すぐに歯科医院を受診した方がいいのはいうまでもありませんが、休日や夜間などすぐに歯科医院を受診できないこともあります。

そこで今回は、歯ぐきが腫れてきたときに歯科医院を受診するまでにできる応急処置についてお話しします。

■歯ぐきが腫れるのはどうして?

原因は”細菌”の可能性が多く、腫れた歯ぐきには抗菌薬が必要

歯ぐきが腫れるのは、お口の中の細菌に原因があります。

歯ぐきの腫れは、腫れた状態によって歯肉炎歯周炎、智歯周囲炎に分けられます。

歯肉炎は歯ぐきだけが腫れた状態、歯周炎は歯ぐきだけでなく、歯を支えている歯槽骨とよばれる骨にまでダメージが及んだ状態、そして智歯周囲炎は親知らずの周囲の歯ぐきが腫れた状態です。

いずれの場合も治療にはまず抗菌薬の投与が必要ですが、抗菌薬はドラッグストアでは販売されていません。

したがって、歯科医院で処方してもらう必要があります。

「歯周炎」についてはこちらの記事をご参照ください

歯のまわりの病気(歯周炎について)

「歯肉炎」についてはこちらの記事をご参照ください

すこし歯肉が赤い(歯肉炎について)

■歯科医院を受診するまでの対応

痛みへの対処

歯ぐきが腫れると、その周囲の歯ぐきが圧迫されるために、痛みが生じます。

その痛みを止めるためには、ドラッグストアなどで市販されている痛み止めを使うのもいいでしょう。

市販されている痛み止めは、いろいろなタイプがあります。

お店の薬剤師と相談して選んでください。

腫れたところはなるべく触らない

指先には意外とたくさんの細菌がついています。

腫れたところを指で触ると、腫れが悪化する原因にもなりかねませんので、触らないように気をつけてください。

食事について

腫れた歯は安静を保つことが大切です。

腫れた歯を刺激しないように、反対側の歯で食べるようにしてください。

部分入れ歯の取り扱い

腫れた歯に部分入れ歯の金具がかかっていることがあります。

もし、部分入れ歯を入れることで歯の痛みが強くなるなら、入れ歯を外しておく方がいいでしょう。

部分入れ歯の金具をご自身で曲げて緩めようとする方がおられますが、ご自身で金具を曲げるようなことはしないでください。

間違った方向に金具を曲げると、元の状態に戻せなくなったり、折れてしまったりする可能性があるからです。

■歯が腫れた時によくある質問のご紹介

Q:歯は磨いてもいいの?

A:磨いても大丈夫です。

歯ぐきが腫れる原因は、お口の中の細菌です。

お口の中の細菌の多くは、歯の表面についているプラークの中に潜んでいます。

歯ぐきが腫れると、触ると痛いですし、歯磨きの刺激によってかえって腫れが悪化してしまいそうに思われがちですが、実はその反対です。

腫れがさらに悪化しないようにするためにも、歯はきちんと磨いて、お口の中の状態を清潔に保つことが大切です。

歯ぐきが腫れた時も、無理のない範囲でできるだけ歯はきれいに磨くようにしてください。

Q:腫れたところを冷やしてもいいですか?

A:冷やしすぎなければ大丈夫です。

冷やすと感覚が少し麻痺しますので、腫れて痛いところは冷やしたくなるものですね。

ところが、冷やしすぎると冷やされたところの血管は縮んでしまいますので、腫れたところを治すために必要な細胞が十分送り届けられなくなってしまいます。

そのため、アイスノンや氷水のような冷たいもので冷やすのは、腫れの治りを悪くするリスクがありますので、やめてください。

少し冷たい水道水くらいの温度のお水で冷やす程度にしてください。

Q:腫れて痛いのですが、整形外科でもらっている痛み止めの湿布を貼ってもいいですか?

A:ボルタレンテープなどの湿布は貼らないようにしてください。

痛み止めの湿布薬は貼るとしても顔に貼ることになります。

歯ぐきには貼れません。

そのため、腫れて痛いところを改善させる効果は期待できませんので、貼るのはやめてください。

Q:薬の副作用で歯ぐきが腫れることはありませんか?

A:あります。

歯茎を腫らしてしまう副作用のある薬としてよく知られている薬に、てんかんの治療薬であるフェニトインや高血圧症の治療薬であるニフェジピンやなどがあります。

フェニトインの服用患者さんの50%、ニフェジピンでは15〜20%に歯ぐきの腫れが生じると言われています。

ですが、薬の副作用によって歯ぐきが腫れたと考えられる患者さんのほとんどは、日常の歯磨きや歯科医院での定期的な歯のクリーニングで歯ぐきの腫れは自然に治っています。

したがって、これらの薬を飲んでいる方で、歯ぐきが腫れたからといって、必ずしも薬を変更しなければならないということはありません。

Q:子供の生えかかっている歯が腫れてきたのですが、どうすればいいですか?

A:そのまま、歯磨きをていねいにしていただいていれば自然に治ってきます。

生えかけている歯の歯ぐきが腫れてくるのを萌出性歯肉炎といいます。

歯が生えてくる過程で、歯ぐきが歯の上に中途半端に残っているために、歯みがきがしにくくなったのが原因です。

萌出性歯肉炎は、腫れていても抗菌薬の処方は必要ないケースがほとんどですから、少々出血しても大丈夫ですから、そのまましっかりていねいに歯磨きしてください。

Q:親知らずが腫れたら抜いた方がいいのですか?

A:はい、抜いた方がいい場合がほとんどです。

親知らずは最も奥にある歯なので、歯ブラシが届きにくい上、斜めに生えていたり、大部分が埋まっていて一部だけ歯ぐきから出ていたりするような生え方をしています。

抗菌薬で一時的に症状が改善されても、歯そのものの条件が悪いので再び腫れてくることも珍しくありません。

そのため一度腫れた親知らずは、抜歯した方がいいとされています。

■まとめ

今回は、歯ぐきが腫れた時の対応についてお話ししました。

歯ぐきが腫れた時は、歯科医院で診てもらわなければなりませんが、すぐに歯科医院を受診できない時は、

①市販の痛み止めで痛みを抑える

②食事は腫れていない反対側の歯で食べる

③腫れていても無理のない範囲で歯磨きはきちんとする

④腫れたところは触らない

これらの点に注意して、なるべく早めに歯科医院を受診するようにしてください。

大田区鵜の木にある野原歯科医院

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