年ごろの口の中は(思春期性歯肉炎)

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

小学校の高学年から中学校の頃、つまり思春期に頃にみられる歯肉炎があるのをご存知でしょうか。

思春期性歯肉炎とよばれる歯周病です。

普通は歯をきれいに磨いていれば歯ぐきが腫れることはあまりないのですが、思春期性歯肉炎は、きれいに歯を磨いても起こり得る歯肉炎です。

今回は、思春期性歯肉炎についてお話しします。

■思春期性歯肉炎とは

思春期の子供の歯ぐきが腫れたり、歯みがきによる刺激で歯ぐきから出血したりする歯周病です。

詳しくは後述しますが、女性ホルモンの影響を受けやすい性質がありますので、思春期性歯肉炎は男子より女子に起こりやすい傾向がみられます。

なお、発症の頻度では思春期の子供のおよそ20%にみられるという報告もあります。

■思春期性歯肉炎の原因

ホルモンバランスの変化

思春期性歯肉炎に関連するのが、女性ホルモンと言われています。

歯周病菌は数百種類存在しますが、プレボテラ・インターメディアという歯周病菌は女性ホルモンが豊富な環境を好む傾向があります。

プレボテラ・インターメディアは一般的に歯周病を引き起こす原因菌ではありませんが、ホルモンバランスの変化を受けて、活動性を増し思春期性歯肉炎が起こす可能性が考えられています。

生活習慣

この時期、友達同士での自宅外の間食が増えてきますが、外出先では歯みがきをすることはまずありません。

塾で帰宅が遅くなったり、クラブ活動で忙しくなったりするなど生活習慣も変化します。

食生活や生活習慣の変化も、思春期性歯肉炎のリスク要因となります。

■思春期性歯肉炎の症状

思春期性歯肉炎の症状は、普通の歯肉炎と同じく、歯ぐきの腫れや歯みがきの時の出血です。

ひどくなると、口臭やお口の中のネバ付きなどの違和感も感じるようになるようです。

一般的な歯肉炎の場合は、歯磨きができていないことが多いのですが、思春期性歯肉炎の場合はきちんと歯磨けていても起こることがあります。

また、思春期性歯肉炎は、侵襲性歯周炎という強い歯周病症状を引き起こすリスクファクターとなりますので、単に歯ぐきが腫れているだけと思って放置してはなりません。

■思春期性歯肉炎の治療法

思春期性歯肉炎で、歯ぐきの腫れや出血、口臭などが気になるようになった場合、歯科医院では普通の歯周病と同じくプラークコントロールを中心とした治療を行います。

歯磨きができていないような場合は、磨き残しのあるところを染め出ししたり、歯ブラシだけでなくデンタルフロスなどの適切な使い方を説明したりして、歯磨きがきちんとできるように指導します。

そして、奥歯の裏など歯磨きがなかなかできないところや、歯ブラシでは取り除けない歯石などを専用の器械を使ってきれいに磨きます。

思春期性歯肉炎は、ホルモンバランスの影響を受けているとはいえ、こうした治療を適切に受けていれば、ほとんどは改善していきます。

■思春期性歯肉炎の予防法

プラークコントロール

歯周病の原因は歯周病菌ですが、その歯周病菌が潜んでいるところは、歯の表面についている白いカスのような汚れの中です。

この汚れをプラークと言い、プラークをきれいに取り除くことをプラークコントロールといいます。

プラークコントロールを徹底するためには、まずは日常の歯みがきを丁寧にすることです。

学校に行っている時間帯は、なかなか歯磨きできなくなりますが、少なくとも1日1回は親御さんがきちんと歯を磨いているのを確認するなど歯磨き習慣も徹底させてください。

日常の歯磨きで取りきれない汚れなどは、歯科医院で定期的に取り除くようにしましょう。

思春期性歯肉炎は歯がきちんと磨けていても起こる可能性がありますが、プラークコントロールができていないと症状がさらに悪化していきます。

したがって、プラークコントロールが重要であることには変わりありません。

生活習慣の見直し

もし、日常的にファーストフードやお菓子、ジュース類を頻繁に摂取している傾向がある場合は、食生活を見直し、きちんと食事を管理する必要があります。

もちろん、忙しくても朝食はきちんと食べるなど、基本的な三食は、欠かさないようにしましょう。

塾などで帰宅が遅くなることもあるでしょうが、睡眠時間はきちんと確保し、疲れがたまりすぎないように注意してあげてください。

疲れがたまることは、免疫力を低下させてしまうので、歯肉炎が悪化する要素となりうるからです。

口呼吸の是正

近年、子供の間で口呼吸をしている子が増えています。

口呼吸をすると、唾液が蒸発しお口が乾燥しますが、唾液には、お口の汚れを洗い流す洗浄作用、お口の中の細菌を減らす抗菌作用、虫歯を予防する再石灰化作用などいろいろな働きがあります。

口呼吸することで唾液が減ると、こうした効果が得られなくなり、歯周病や虫歯のリスクが高まります。

口で呼吸するような癖があるなら、鼻で呼吸するように注意してください。

鼻が詰まっているようなら、耳鼻咽喉科で鼻の治療を受けるようにしましょう。

■まとめ

今回は、思春期性歯肉炎についてお話ししました。

思春期性歯肉炎は、ホルモンバランスの影響を受けて起こる傾向があり、歯磨きがきちんとできている方でも起こりうる歯肉炎です。

とはいえ、プラークコントロールがとても大切であることは、その他の歯周病と同じですし、プラークコントロールを徹底していれば、予防できます。

食生活や学校生活などの点から発症してしまうこともありますから、日常の生活習慣もきちんと管理してあげてください。

もし、歯ぐきの腫れや出血などを認めるような場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

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