口の中がただれている(慢性剥離性歯肉炎)

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

ある日を境に、お口の中の歯ぐきが剥がれてくる病気があると聞くと、驚かれるかもしれません。

実は、歯周病の一つにそんな病気があるのです。

それを慢性剥離性歯肉炎と言います。

これは歯ぐきが剥がれてくるので、大変強い痛みが生じる病気です。

今回は、歯ぐきが剥がれてくる病気、慢性剥離性歯肉炎について解説します。

■慢性剥離性歯肉炎とは

慢性剥離性歯肉炎とは、その名前の通り、長期間にわたって歯ぐきの表面を覆っている上皮と呼ばれる組織が剥がれ落ちる病気で、19世紀に初めて報告されました。

歯肉炎という名称がついていることから、歯周病の一種であることはお分かりいただけると思いますが、非常に特殊な歯周病で、治療法も確立されておらず、なかなか治りにくい傾向があります。

慢性剥離性歯肉炎を生じやすい人

慢性剥離性歯肉炎は、男性に少なく、40代前後の女性に多くみられます。

若い方にも生じにくいです。

■慢性剥離性歯肉炎の原因

今のところ、慢性剥離性歯肉炎の原因は明らかにはなっていませんが、全身的な原因やお口の中の原因が疑われています。

全身的な原因

甲状腺疾患や皮膚疾患などのいろいろな病気が背景にあり、その症状が歯ぐきに現れたのではないかという考え方もされています。

また、継続的に受け続ける強いストレスが、歯ぐきの細胞を傷害しているのではないか、閉経後に起こる方も多いことから、女性のホルモンバランスの変化による影響を受けて発症するのではないかとも考える研究者もいます。

局所的な原因

歯周病は、歯の表面についているプラークの中にいる歯周病菌が原因で起こることが明らかになっています。

ところが、慢性剥離性歯肉炎は、歯周病菌などのお口の中のさまざまな細菌が、直接的な引き金となって起こる病気ではないという見方がなされています。

それに加え、歯の金属製の被せ物やコンポジットレジンというプラスチック製の詰め物に対するアレルギーが関与しているのではないかともいわれています。

通常の歯周病のように、歯周病菌(=プラーク)が原因ではないと考えられていることから、日本歯周病学会では、慢性剥離性歯肉炎は非プラーク性歯肉病変として分類しています。

■慢性剥離性歯肉炎の症状

慢性剥離性歯肉炎の症状は、痛みなどの自覚症状を感じることなく経過していくこともありますが、そうでない場合が多いです。

歯ぐきの症状

歯ぐきの症状としては、小さな水ぶくれが生じ、それが潰れることで歯ぐきがはがれ、びらんや潰瘍とよばれるただれが生じます。

また、歯茎に赤い斑点が生じることもあります。

こうした歯ぐきの症状は、歯数本分の範囲からお口全体の広い範囲に及ぶ場合など、いろいろみられます。

痛みと出血

痛みは、症状によって異なり、全く痛みがない無症状のケースもあります。

症状が軽度な場合は、歯ぐきが赤く腫れたり、軽く出血したりする程度で、痛みを感じることはあまりありません。

病状が進み、小さな水ぶくれを形成するようになると、水ぶくれがはじけた場合に、触れることでヒリヒリとした軽い痛みが現れます。

歯ぐきの上皮が剥がれ、びらんというただれた状態になると、痛みも強くなり、触れた時の痛みに加え、焼けるような熱い痛みを感じることもあります。

この状態になると歯みがきのような強い刺激がなくても、容易に出血するようになります。

病気の経過

慢性剥離性歯肉炎の経過はとても長くなる場合が多いです。

ですが、常に症状が一定に保たれるわけではなく、改善と悪化を繰り返す傾向がみられます。

■慢性剥離性歯肉炎の治療法

慢性剥離性歯肉炎は、原因がはっきりしないため、治療はとても難しいのが実情です。

そこで治療の方法は対症療法という、症状の緩和を主としたものになっています。

プラークコントロール

お口の状態を清潔に保つことは、慢性剥離性歯肉炎に限らず、歯周病治療の基本です。

そこで大切になるのがプラークコントロールです。

歯科医院でスケーラーとよばれる専用の器械を使って歯石を取り除いたり、PMTCとよばれる歯の表面をピカピカに磨き上げたりする治療を行いますが、痛みが激しい場合は、毛先のやわらかい歯ブラシで優しく歯を磨くようにします。

薬物治療

歯ぐきが感染を起こして腫れている場合は、抗菌薬を処方し炎症の緩和を図ります。

また、びらんや潰瘍の症状が強い場合は、ステロイドの軟膏を処方します。

アレルギーの管理

もし、歯科で治療に使う金属やコンポジットレジンにアレルギー反応を認める場合は、お口の中から該当する歯科材料を取り除くことも大切です。

その際、金属やコンポジットレジンが飛び散らないように気をつけなければなりません。

■まとめ

今回は、慢性剥離性歯肉炎についてご紹介しました。

慢性剥離性歯肉炎は、中年期以降の女性によく見られる特殊な歯肉炎です。

現在、その原因は明らかにされておりません。

症状は、軽度な場合は無症状ですが、びらんが広範囲に広がっていくとそれにつれて痛みを強くなっていきます。

気になる治療法は、対症療法が中心です。

すなわち、プラークコントロールによるお口の清潔化や、抗菌薬や軟膏・うがい薬といった外用薬の処方です。

もし、歯ぐきに原因不明のただれがみとめられるようになったら、早めに歯科医院で診てもらってください。

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