こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
歯周病には、歯肉炎や歯周炎などいろいろなタイプがあります。
歯周炎は、かつては歯槽膿漏とよばれていた病気です。
歯肉炎も歯周炎も同じような感じに聞こえますよね。
歯周炎って一体どのような病気なのでしょうか。
今回は、歯周炎についてご紹介します。
■ 歯周炎ってなに?
歯周炎とは、歯周病の一つです。
歯周病とは、歯周組織に生じる病気です。
歯周組織とは、歯を支えている組織のことで、歯ぐき(歯肉)・骨(歯槽骨=歯を支えている 骨)・セメント質(歯根の表面を覆っている組織)・歯根膜(歯槽骨とセメント質をつなげてい る薄い靭帯のような組織)から成り立っています。
歯周炎は、これら歯周組織に炎症が起こる病気を指します。
歯肉炎との違い
名前はよく似ていますが、歯肉炎と歯周炎は異なる病気です。
その違いは炎症の範囲にあります。
歯肉炎は歯ぐきにのみ炎症が起こっているのに対し、歯周炎は歯ぐき以外の歯周組織に炎症が広 がっています。
そのため、歯肉炎の症状が歯ぐきの腫れや出血、痛みなどが中心ですが、歯周炎ではそれ以上の 症状が現れます。
■ 歯周炎の原因
歯周病菌
歯周炎の原因は、お口の中にいる歯周病菌という細菌群です。
歯周病菌は、数百種類あると言われていますが、特に歯周病を引き起こすリスクが高いと言われ ているのが、フォルフィロモナス・ジンジバリス(Pg 菌)、トレポネーマ・デンティコラ(Tg 菌)、タンネレラ・フォーサイセンシス(Tf 菌)の3 種で、これらをレッドコンプレクスとよんで います。
これら3 種は、歯周病だけでなく、それに伴う強い口臭の原因とも目されています。
なお、レッドコンプレックスに次にリスクが高い歯周病菌をオレンジコンプレックスと言いま す。
オレンジコンプレックスは、妊娠性歯周炎の原因としても知られるプレボテラ・インターメディ ア(Pi 菌)など10 種類あります。
歯周病菌が歯周炎を起こすプロセス
レッドコンプレクスやオレンジコンプレックスに含まれる歯周炎への関与が強いとされている細 菌群は、歯周ポケット内部の深いところにいます。
歯周ポケットの深いところで、体を作っているタンパク質を分解する物質や毒素を作り出し、歯周組織を破壊していくのです。
こうして歯周病が発病します。
■ 歯周炎の検査
歯周ポケットの深さ
歯周ポケットは、歯周病菌が入り込み、増えていく温床となる場所でう。
しかも、歯周ポケットの表面から歯周病菌が作り出した毒素などが歯ぐきに入り込んでいきま す。
歯周ポケットが深くなればなるほど、歯周炎のリスクが高まります。
そのため、歯周ポケットがどれくらい深いのかをチェックします。
歯周ポケット3mm以内が正常とされています。
レントゲン写真
歯周炎では、歯槽骨が破壊されて減っていきます。
歯槽骨は歯ぐきの内側にありますから目では見えません。
そこでレントゲン写真を撮影して、歯槽骨がどれくらいダメージを受けているのかをチェックし ます。
歯の動揺度
歯周炎が進行すると、歯槽骨が減っていきますので、歯がグラグラと動き始めます。
歯がどれくらいの幅で動いているのかをチェックします。
お口の清掃状態
プラークがどれくらいついているのか、プラークのつき具合を目で確認したり、染め出ししたりして、チェックします。
■ 歯周炎の症状
歯周炎も初期段階では、歯肉炎のように歯はあまりグラグラとすることはなく、歯ぐきの腫れや 歯磨き時の出血、痛みなどの症状を認めます。
ですが、歯周炎は歯ぐきだけに炎症が治まっているわけではないので、少しずつ歯と歯ぐきの隙 間である歯周ポケットが深くなっていき、歯を支えている歯槽骨という骨が吸収されて減ってい きます。
それに伴い、歯が少しずつ動き始め、やがて歯と歯の間が広がったり、歯が抜けてしまったりす るようになります。
口臭を発することもあります。
■ 歯周炎の治療法
歯周基本治療
歯周基本治療では、スケーリングやルートプレーニング が行われます。
スケーリングとは、歯の表面についた歯石を取り除く治療です。
歯石は、プラークが古くなり石のように硬くなったもののことで、プラークがつきやすい温床で もあります。
ルートプレーニングは、歯周ポケット内部についた歯石を取り除く治療です。
スケーリングとルートプレーングにより、歯周組織をプラークがつきにくい健康な状態にします。
咬合調整
噛み合わせがキツ過ぎるために、歯を支える歯槽骨に強い負担がかかり、歯周病が悪化している場合は、歯槽骨への負担を軽くするために、歯を削って歯の当たりや噛み合わせを調整します。
歯周外科手術
歯周炎が進行し、歯周基本治療だけでは歯周炎の改善が図りにくい場合は、歯周外科手術という 外科的な治療が行われる場合があります。
局所麻酔の注射をした上で、歯周ポケット内部の病巣や深いところにあって歯ぐきを切開しない と届かないような歯石を取り除いたり、歯ぐきを切除したりして、歯周ポケットを浅くします。
抜歯
歯周炎がかなり進行し、残しておくことが他の歯に悪影響を及ぼすと判断された歯は、抜歯しな ければなりません。
■ 歯周炎の予防法
プラークコントロール
歯周炎の一番の予防法は、プラークコントロールでお口の中をきれいな状態に保つことです。
毎食後の歯磨きの際、歯ブラシで歯の表面を磨くだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間まできれいに磨きましょう。
そして、取りきれない歯の汚れや歯石を定期的に歯科医院で取り除いてもらってください。
ご自身の歯磨きと歯科医院での歯のクリーニングの二人三脚で歯周炎を予防しましょう。
もし、歯肉炎になった場合は、歯周炎になる前に歯科医院を受診し、きちんと治してもらいま しょう。
生活習慣やクセなど
タバコは歯周炎を発生させたり、悪化させたりする要因の一つです。
タバコを吸う習慣のある人は禁煙しましょう。
食生活では、偏った食事や不規則な食習慣も歯周炎のリスク要因です。
食事は、栄養バランスに注意し、1 日3 度規則正しく食べるようにしてください。
歯ぎしりや食いしばりといったクセも、歯槽骨に過度な負担をかける原因です。
こうした噛み合わせのクセがある場合は、歯科医院で相談するといいでしょう。
■ まとめ
今回は、歯周炎についてお話ししました。
歯周炎は歯肉炎とよく似た名前ですが、実は異なる病気です。
歯肉炎が歯ぐきだけに炎症が起こった状態であるのに対し、歯周炎はそれ以上の範囲に広がって います。
そのために、症状も異なり、歯周炎になると歯がグラグラと動いたり、口臭がしたりと歯肉炎以 上の症状が認められます。
しかも、歯周炎になると、酷い場合は抜歯しなくてはならなくなることもあります。
幸いなことに、歯周炎は予防の方法がわかっています。
今回ご紹介した記事を参考に、歯周炎を予防してください。
大田区鵜の木にある野原歯科医院
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