人類の歯磨きの歴史

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

このコラムをお読みになっているあなたも、食事の後には歯磨きをしていることでしょう。

人間はいつ頃から歯磨きを始めたのでしょうか。

今回は、そんな人類の歯磨きの歴史についてご紹介します。

■縄文時代や弥生時代の遺跡から

考古学の研究によって、縄文時代や弥生時代の遺跡から、歯を磨いていたと思われる痕跡が見つかっています。

もちろん、そんな頃は歯ブラシなんてものはありませんから、木の枝を加工したりして、爪楊枝のような形で使っていたようです。

縄文時代は紀元前14,000年から紀元前1,000年ごろ、弥生時代は紀元前400年から300年ごろを指す時代区分です。

日本ではこれほどの昔から歯を磨きをしていたわけですね。

■黄金の爪楊枝

一方、世界ではどうだったかというと、紀元前3,000年ごろのメソポタミア文明時代のシュメール人の遺跡から、なんと黄金で作られた爪楊枝が見つかったそうですし、古代エジプトの遺跡の埋葬品の中からも爪楊枝と思われるものが発見されています。

また、古代バビロニアの時代には、指先に麻でできた布地を巻き付け、歯の表面を擦ってきれいに磨いていたとのことです。

ただし、現代とは異なり、歯磨きした後のうがいは行われていなかったそうですから、歯磨きをした後は、汚れを吐き出して終わりだったのでしょう。

■仏教伝来とともに

日本に大陸から仏教が伝わったのは、日本書紀によると西暦552年と言われています。

この時、歯木(しぼく、もしくはしもく)という菩提樹の小枝を使った歯磨きの習慣も一緒に伝わったそうです。

もっとも、仏教と同時に伝来したこともあり、当初は僧侶から習慣化していったということですが、次第に一般の人々の間にも伝わっていきました。

■日本最古の医学書にも

平安時代になると、医学書が執筆されるようになりました。

我が国最古の医学書と言われる『医心方』という書物があります。

ここには、歯みがきをすれば、むし歯の予防効果が得られるという記載があるということです。

まさしく、歯みがきの効果を医学的に裏付けた最初の論文と言っても過言ではないでしょう。

■世界初の歯ブラシ

世界初の歯ブラシは、中国の明の時代に発明されました。

竹や動物の骨でハンドルの部分を作り、ブタの毛を先端部分に植え込んだものです。

非常に高価なものだったのか、皇帝への献上品として作られたそうです。

これが、ヨーロッパに伝わると、少しずつ改良されていきます。

1600年代には、フランスで毛先の素材がブタから馬に変わりました。

1700年代のイギリスでは、イノシシの毛に変わりました。

ブタの毛では軟らか過ぎて磨きにくかったので、時代とともに少しずつ改良されていったようです。

■房楊枝の開発

房楊枝(ふさようじ)とは、江戸時代に作られた歯磨き道具の名称です。

房楊枝は、柳などの木の枝をさいて作られており、熱湯で煮立てて柔らかくしたのちに、先端部を木槌で叩いてブラシの毛先のような形にしたものです。

しかも、毛先の反対側は尖っているので、爪楊枝のように歯と歯の間の汚れも掃除できるように考えられていました。

浮世絵にも房楊枝を使って歯磨きをする女性の描かれています。

実は、この時、歯磨き粉も作られていました。

歯磨き粉といっても、現代のような歯磨き粉ではなく、当時の歯磨き粉は砂を加工して作られたものでした。

当初は単なるみがき砂だったものが、塩を配合したり、香料を混ぜたりと、時代とともに進歩していったということです。

汚れの落ち具合も、今の歯磨き粉に劣らない性能だったというから驚きです。

■明治時代

明治時代になると、文明開化の波にのって、日本にはなかった西洋の文化、品物、風習がもたらせれるようになりました。

その中には、歯ブラシや歯磨き粉も含まれています。

当時の西洋の歯ブラシは、ハンドル部分に牛や鯨の骨を利用し、毛先に馬や豚、羊などの動物の毛を植え込んだものだったようです。

今の歯ブラシにかなり近い形と予想できますね。

江戸時代に使われていた房楊枝とは全く違う形ですから、当時の日本の人々はさぞかし驚いたことでしょう。

歯磨き粉も輸入され、1888年に資生堂から『福原衛生歯磨石鹸』という名前で発売されました。

ちなみに、近代的な国産歯磨き粉第一号は、ライオンによって1896年に製造販売された『獅子印ライオン歯磨』です。

■現代の歯ブラシ

現在、みなさんが使っている歯ブラシには、ナイロン製の毛先がついているはずです。

ナイロンは、アメリカのデュポンというメーカーによって開発された化学繊維です。

1950年代以降は、このナイロン製の毛先と、プラスチック製のハンドルを組み合わせた歯ブラシが主流になり、今日に至っています。

■まとめ

人類は太古の昔から、歯を磨いていたようです。

歯磨きの道具は、時代とともに改良が加えられ、今の歯ブラシが完成したのは数十年前の話です。

今でも、電動歯ブラシが開発されるなど、歯ブラシは発展と改良が繰り返されています。

皆さんも、歯をしっかり磨いて、全身の健康とも密接に繋がっている歯やお口の健康を守っていきましょう。

htt://www.lio-det-health.or.j/100year/article/egiig/001.htm

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