どうして親知らずは真っ直ぐに生えてこないのか。

こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。

親知らずとは、前から数えて8番目の歯を言います。

また、生まれながら、その歯が存在しない人もいます。

ところで、あなたの親知らずは、きちんと生えていますか?もしかしたら、斜めに生えていたり、もしくは、そもそも生えてなかったりしていませんか?

他の歯は、ちゃんとまっすぐ生えてくるのに、どうして親知らずは真っ直ぐに生えてこないのでしょうか?

今回は、親知らずがきちんと生えてこない理由について解説します。

■親知らずは一番最後に生えてくる歯

永久歯は、おおむね6歳ごろから生え始めます。

最初は、6歳臼歯と呼ばれる乳歯の奥にあたる位置の永久歯から生え始めることが多いです。

次いで、前歯が乳歯から永久歯にというように、順次永久歯に生え替わっていきます。

生え替わる順番は、個人差がありますので、みんな同じというわけではありませんが、親知らずが一番最後という点は、全員に共通しています。

■親知らずという名前の由来

では、親知らずは何歳ごろに生えてくるのでしょうか。

それは、18歳頃から24歳頃までです。

親知らずの語源は、人間の寿命がまだ50歳に満たない昔、親知らずの歯が生える頃にはすでに親が他界し、親も知らない歯という説や、親が知らないうちに生えてくる歯などの説があります。

ところで、英語ではwidom toothとよびます。

こちらは、『知恵がついた後に生えてくる歯』という意味です。

日本語で親知らずの別名を『智歯』といいますが、英語由来の言葉ではないかとも言われています。

■親知らずがきちんと生えてこない理由

大昔はきちんと生えていた

人類は、猿人から始まり、原人→旧人→新人という順序で進化してきました。

実は、考古学の研究により、旧人の時代の人類の親知らずは、他の歯と同じく真っ直ぐにきれいに生えていたことがわかっています。

つまり、旧人の時代までは、親知らずもきちんと生えていたのだけれど、それ以降の新人の時代に入ってから、きれいに生えてこなくなってきたわけです。

旧人と新人の間に何が起こったのでしょうか。

それが、顎の骨の縮小です。

顎の骨が小さくなってきた

旧人から新人へ至る過程で、人類の食生活に大きな変化が現れました。

火の利用です。

実は、元々人類は草食性の生き物でした。

今の類人猿と同じですね。

余談ですが、人類に色覚があるのは、果物を食べるためだと言われています。

果物が熟して食べごろになると色が変化します。

塾したかどうかを知るために、色覚を手に入れたというわけです。

草食の食べ物は、繊維質が多いのでよく噛まなければなりませんから、よく顎を使います。

例えば青梗菜などなかなか噛みきれませんよね。

ところが、猿人から旧人に至る間に肉食を覚えました。

肉食は、栄養価が高い上、草食ほど噛む必要性もありません。

そして、旧人から新人に至る間に、火の利用を覚え、火を使う『調理』を発明したのです。

火を使って調理すると、食べ物が軟らかくなり、野菜も以前ほどに噛まなくても食べられるようになり、だんだん顎を使わなくなっていきます。

顎の骨は、使わないと、つまり硬いものをしっかり噛まないと成長しなくなります。

つまり、顎の骨が小さくなるのです。

食生活の変化が、人類の顎の骨を小さくする方向にバイアスをかけて進化を導いていったわけです。

歯は小さくならない

実は、地球上のあらゆる生物において、身体の中で歯は最も安定した組織といわれています。

そのため、どんな生き物でも進化に伴って歯の大きさや形が変化するには、数百万年単位の年月が必要と考えられています。

一方、骨は歯ほど安定した組織ではありません。

数万年くらいの年月があれば、大きさや形が十分変化します。

旧人の時代は50〜30万年前ですし、現生人類である新人の時代は、30万年前から始まっています。

この期間では、顎の骨のサイズは十分変化できますが、歯のサイズは変化するには年月が足りません。

ですから、顎の骨が小さくなっても、歯は小さくなりえないのです。

顎は小さくなっているのに、歯は小さくなっていない

親知らずがきちんと生えてこない理由、それは人類の進化の過程で、顎の骨が小さくなってきたにもかかわらず、歯が小さくなっていないことにつきます。

親知らずが生えてくる10代後半にもなれば、身体の成長はほとんど終わっていますから、顎の骨の成長も止まっています。

その時点で、かつての人類のように顎の骨が十分なサイズになっていれば、親知らずもちゃんと生えてきます。

ですが、残念ながら私たち現生人類には、そんな大きな顎はもう望んでも得られないのです。

そのために、親知らずがきちんと並ぶ場所がなくなり、斜めに傾いて生えていたり、生えてこれなかったりするのです。

中には、一見するときちんと生えているように見える人もいますが、よく見ると親知らずの後ろ側が歯茎がかかっていて、他の歯のようにきれいに露出していません。

やはりきちんと生えているわけではないのです。

■まとめ

親知らずが、きちんと生えてこない理由、それは人類の進化の過程で、顎の骨のサイズが小さくなってきたことにあります。

今後数十万年経てば、歯のサイズも小さくなってくる、もしくは親知らずそのものが消失するかもしれませんが、それにも増して顎の骨はさらに小さくなっていくと予想されています。

現在、顎の骨が小さくなりすぎ、親知らずの手前側の奥歯もきちんと生えてこない人も散見されます。

これからも親知らずに人類は悩まされていくことでしょう。

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