こんにちは。野原歯科医院院長の野原行雄です。
今回は「歯磨きの時に使う歯磨き粉の適切な使い方」を説明します。
歯磨きの時、歯磨き粉を使わずに歯磨きをしている人もいるでしょうが、歯磨き粉を歯ブラシに つけて使っている人がほとんどではないでしょうか。
市販されている多くの製品には使い方が書いてあるものですが、歯磨き粉に関しては、効果効能は書かれていても、使い方までは詳しく書かれていません。
そのために経験的に歯磨き粉を使っている方が大半でしょう。
そこで、今回は、歯磨きの時に使う歯磨き粉の適切な使い方についてご説明します。
■歯ブラシは濡らすべき?
歯磨き粉をつける前の歯ブラシは、濡らすべきでしょうか?乾いたままでつけるべきでしょうか?
答えは、乾いたまま、歯磨き粉をつけるです。
多くの方が、歯ブラシを濡らしてから歯磨き粉をつけているのではないでしょうか。
乾いたままが良い理由は、歯ブラシを濡らすと、歯磨き粉の泡立ちが良くなるからです。
そうすると磨けていないのにもかかわらず、泡立ちの良さによって気持ち良くなり、磨けたよう な気になってしまい、きちんと磨かなくなってしまうからです。
歯磨きの目的は、歯の表面についた、もしくは歯と歯の間に入り込んだ食べカスなどの汚れやむ し歯や歯周病の原因菌が住み着いているプラークを取り除くことです。
もしも泡立ちの良さのために磨けた気にだけなって、きちんと歯を磨けなくなっては、歯磨き粉 本来の目的を果たすことができなくなります。
ですから、歯磨き前に歯ブラシを濡らさず、乾いたままで歯磨き粉をつけるように勧められているのです。
■歯磨き粉はどれくらいつけるべき?
歯ブラシと歯磨き粉のイラストでは、しばしば歯ブラシの毛先いっぱいに歯磨き粉がつけられています。
実は、これは歯磨き粉のつけ過ぎでよくないのです。
歯磨き粉の適切な量は、年齢によって異なります。
6ヶ月〜2歳:3[mm]程度
3〜5歳:5[mm]以下
6〜以上 1[cm]くらい
を参考にしてください。
歯磨き粉の幅は、歯磨き粉のチューブの口と同じくらいの幅です。
たくさんの歯磨き粉で磨いた方が、むし歯予防や歯周病予防に効果があるように思われるかもしれません。
ですが、例えば洗濯機に洗剤を入れると、適正な量以上の洗剤を入れて洗濯しようとはしませんよね。
歯磨きも同じです。
たくさん歯磨き粉を使っても、歯磨き粉が使いきれず、きちんと磨けなくなるのです。
■歯磨きした後のうがいは?
歯磨きした後、コップ一杯くらい使ってうがいをしていませんか?
歯磨きをした後のうがいに使う水の量にも適切な量があります。
実は、およそ10〜15[ml]くらいの水でうがいをすることが勧められています。
15[ml]とは、ペットボトルのキャップ2個程度、大さじのスプーン1杯分程度の量が目安です。
かなり少ない量であることがわかってもらえるでしょう。
グチュグチュとうがいにかける時間は5秒程度で、回数は1回だけです。
これ以上のたくさんの水と時間をかけてうがいをすると、歯磨き粉に含まれている薬効成分が洗 い流されてしまうと言われています。
少ない水で短時間お口をゆすぐようにしましょう。
■歯磨き粉のフッ素の量はどれくらいがいい?
市販されている歯磨き粉の多くにはフッ素が配合されています。
フッ素の量にもおすすめ量があります。
6ヶ月〜2歳:500〜1000m
3〜5歳:500〜1000m
6歳以上:1500m です。
以前は、1000mまでのフッ素濃度の製品しか発売許可が出ていませんでした。
ところが、世界的な歯磨き粉のフッ素濃度は1500mでして、日本だけが遅れているのが実情で した。
そこで、厚生労働省が世界的な基準に合わせる形で、フッ素濃度を1500mまで高くすることを 認めるようにしたのです。
1000mから1500mでは1.5倍の濃度差しかないように見えます。
ですが、唾液中に溶け込むフッ素の濃度を比較すると、2倍以上の差があることが研究結果から明 らかになっています。
歯磨き剤の濃度の差以上に、むし歯予防効果が高くなっていることがわかってもらえるでしょう 。
なお、安全性を考慮して、従来の1000mが上限だった時、フッ素の濃度が950mだったのと 同じように、上限が1500mに引き上げられましたが、歯磨き剤のフッ素の濃度は1450mとさ れています。
注意点:1500mの高濃度フッ素は、むし歯予防の効果が高いのですが、6歳未満の子供に使うのは避けましょう。
もし使ってしまうと斑状歯という歯の表面に白い模様をつける副作用を引き起こすことがあるか らです。
■まとめ
今回は、効果的な歯磨き粉の使い方について説明しました。
①歯磨き粉をつける前の歯ブラシは濡らさない
②年齢に応じた適切な量を使う
③歯磨き後のうがいは、少ない水で短時間に止める
④歯磨き粉のフッ素の量は、6歳以下は500〜1000m、6歳以上は1450mがおすすめ
これを参考にして、これから是非歯磨きをするようにしてください。
緑茶の中には500mのフッ素が含まれています。
フッ素の事を知らない時代から、お団子を食べながらお茶を飲んだのは先人の英知と言えそうですね。
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